球児たちの夏の祭典が、佳境を迎えている。5日に開幕した第108回全国高校野球選手権大会。代表49校が連日熱戦を繰り広げた中で、担当記者たちも現地で精力的な取材を行っている。「書ききれなかった話」も多くあり、記者たちがセレクトした敗退チームの話題を紹介する。
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「強くなって帰ってくる」。日南学園(宮崎)の谷口銀次郎投手(2年)は、2回戦で横浜(神奈川)相手に先発。9回途中9失点で力尽きたが、6回までは1失点と強敵相手に互角に渡り合った。打っては4番も務める。プロ注目右腕の織田翔希投手(3年)とも対戦し、打席で甲子園史上最速の156キロを体感した。「見たことのない速さ。これがナンバーワンのボールかと」。甲子園ではヒットを打てず悔しさが残った。だからこそ、また来年。「織田投手のように、マウンドに立つだけで雰囲気を変えられる投手になって、甲子園に帰ってきたい」決意新たに聖地を後にした。
2年生ながらチームの中心を担った銀次郎を支えたのは母笑子(えみこ)さんだった。中学入学時は細身だった銀次郎に「高校入学までに70キロいこうね」と、栄養を考えた食事を毎日用意。夕食では3合のご飯を食べ、約10キロの増量に成功した。そんな笑子さんが大切にしてきた言葉がある。「丁寧に生活しなさい」。野球はもちろん、食事や生活とも向き合う姿勢を伝えてきた。「最後の一押し、ひと踏ん張りのために丁寧に過ごすこと」。甲子園で得た経験も、最後に味わった悔しさも来年への糧になる。まだ2年生。ここで終わりではない。母の言葉を胸に、また一から積み重ねていく。【田島優大】

