<高校野球大阪大会:PL学園9-0貝塚南>◇21日◇2回戦

 PL学園が大川悟(3年)の4回1安打無失点の好投で、貝塚南に7回コールド勝ちした。大川の背番号は「8」。エースなのに実は投手が嫌いな変わり種だ。今大会は左アキレスけんの上を肉離れし、一時は参加が危ぶまれていた。だが、エースの復活で、2年ぶりの代表を目指す態勢がようやく整った。

 許した安打は、三塁後方に落ちた1本だけ。その走者も盗塁死。PL学園の左腕大川は、4回を打者12人で封じた。「ストライク先行を意識した。四球がなくて良かったです」。球速130キロ前後の直球にカーブ、スライダー。遊びで覚えたサークルチェンジを有効に使い、今夏覚えたばかりのスプリット(SFF)も投げた。昨秋、チームを大阪大会3位、近畿大会8強に導いた「背番号8のエース」が、今夏初登板で準完全の快投だ。

 予想を上回る早期復帰だった。6月中旬に左アキレスけんの上を肉離れ。練習試合で、センターの守備位置からベンチに戻る際、違和感のあった箇所に痛みが走った。診断は全治6週間。復帰見込みは今大会3、4回戦。6月下旬から治療優先で入院した。しかし、開会式前日の8日だった退院予定を3日早く切り上げ、急ピッチで仕上げた。「キャッチボールはずっとできていたし、足さえ治ればと思っていた」という。

 実は投手に興味はない。本当は野手一本で勝負したい。背番号も昨秋の「8」から今春は「1」になったが、今夏は「8」に戻った。「1番にこだわりは全然ないです。8番の方が気持ちが楽だし、できるならセンターを守りたい」。河野有道監督(62)も「(背番号1の)友谷(俊輝)に期待しているのもありますが、大川も嫌がっとるようで」と苦笑いする。

 今年の夏は実質的なレギュラー2人を含み、メンバーに1年生が4人。PL学園史上極めてまれな若いチームだ。投手陣も絶対的エースはおらず、この日2番手で投げた友谷を含む4人で回していく。V候補の大阪桐蔭、履正社に比べて「個々の力は劣ると思う」と主将の深海翼捕手(3年)。しかし、まとまれば負けない。「背番号8のエース」が帰ってきて、V候補を脅かす戦力は整った。【加藤裕一】

 ◆大川悟(おおかわ・さとる)1993年(平5)4月16日、大阪生まれ。鶴見小2年から軟式「古市スカイラブ」で野球を始め、一塁手や外野手、緑中時は硬式「大阪東淀川ボーイズ」で主に中堅手。高校は1年秋から背番号16でベンチ入り。昨秋は8で今春は1だった。172センチ、66キロ。左投げ左打ち。好きなプロ野球選手は阪神金本。