<高校野球大阪大会:PL学園4-3登美丘>◇8日◇1回戦◇久宝寺

 大阪大会で、PL学園が辛勝発進した。登美丘に2点リードを許し、前半5回を終了。右有鉤(ゆうこう)骨骨折から復活したばかりの来秋ドラフト候補、前野幹博(よしひろ)内野手(2年)が同点、勝ち越しの殊勲打2本でチームを救った。

 PL学園の夏は、今年も前野で幕を開けた。2-3の7回1死二塁で、右翼線へ同点二塁打。3-3の9回1死二塁で中前に勝ち越し打。昨夏の大阪大会1回戦・堺戦で豪快な公式戦1号を放ち「福留2世」と呼ばれた打者が、挫折を乗り越え、チームを救った。

 5月5日の近畿大会大阪府予選5回戦・太成学院大高戦の打席で、右手を痛めた。有鉤(ゆうこう)骨が折れていた。スイングが速い、強打者ならではの悲劇。「夏は間に合わないんじゃないか」と河野有道監督(63)も一時は覚悟した。

 大阪大会まで残り2カ月。骨片を除去する手術を受け、約1カ月間、打撃練習を休んだ。「自分自身も夏に間に合うか不安でした。トレーナーの方が夏に間に合うようにしっかりケアして下さったおかげです」。支えてくれる人がいて、力を取り戻した。

 今夏、打順は7番でスタート。試合前半は苦しんだ。初回、1点先取後、なおも2死満塁で一塁ゴロ。3回2死一、二塁、5回2死満塁と3度回った絶好機でも凡退した。5回を終えて1-3。「何のために毎日練習しているのか…」と河野監督があきれかえった苦戦は、前野の不発も一つの要因。だが、後半はここ一番で結果を出した。

 昨夏、PL学園では清原和博(日刊スポーツ評論家)、福留孝介、楽天勧野甲輝に続く1年生の大阪大会2本塁打を記録しながら、代表はつかめなかった。今夏も苦戦の発進だ。スタンドでは中日、日本ハム、ツインズなどのスカウトが見守った。注目のスラッガーがどう変わるのか、周囲は見ている。チームの苦境を救い、スーパー2年生は成長する。【堀まどか】

 ◆前野幹博(まえの・よしひろ)1995年(平7)7月31日、兵庫県生まれ。猪名川中時代は「レッドスターベースボールクラブ」に所属。PL学園では1年夏から背番号13でベンチ入り。当時は左翼手。好きな選手は元オリックス清原。高校通算15本塁打。183センチ、79キロ。右投げ左打ち。