<高校野球山口大会:早鞆3-2下関国際>◇21日◇2回戦◇下関球場

 元ダイエーの大越基監督(41)が率いる早鞆が春夏連続出場へスタートを切った。昨夏敗れた下関国際に競り勝ち、リベンジした。この夏エースナンバーを背負う堀田大生(3年)が2失点で完投した。

 春夏連続出場の道はヒヤヒヤの勝利でスタートした。早鞆が辛くも1点差で下関国際を下した。「今日は勝てて良かった。プラスにとらえます」。センバツで元プロ選手監督として注目を浴びた大越監督は初戦突破に安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 相手は昨夏3回戦で0-1で敗れた下関国際。前年の嫌なイメージを振り払うため、大越監督はあえて強攻策を取った。1回に無死一塁で2番中村要外野手(3年)が三塁打を放ち先制。「今までなら犠打だけど、今日は思い切りいかせた。中村にもバントはしないぞと試合前から言っていました」と大越監督。4回までに3点リードを奪い、すっかり早鞆ペース…とはならなかった。5回までわずか1安打に抑えていた堀田が6回、3四死球など乱れて2失点。終盤は堀田が相手の勢いをかわしながら1点差で逃げ切り「苦しかった。勝っているのに負けているような雰囲気になってしまって。ベンチでずっと『勝ってるんだぞ』と選手に言っていましたよ」と大越監督は夏の難しさをあらためて感じていた。

 センバツで初の甲子園を経験したナインの目標は「全国で勝つこと」になり、目の色が変わった。練習終了後も自主練習をする選手が増え、大越監督が「もう練習をやめて帰れ」とストップをかけるほど。「選手に練習するなと言うのは監督になって初めてですよ」とナインの変化には大越監督も驚いている。2失点完投で最後の夏をスタートさせた堀田は「夏は自分1人で投げるつもりでいます。もう1度、甲子園に立ちたいです」とエースの自覚も十分だ。

 春夏連続出場へ周囲の期待がかかるが、仙台育英で春夏連続出場を果たした大越監督は「そんなに甘いもんじゃないですから、プレッシャーはないです」と冷静に言う。智弁学園(奈良)に敗れ、春に甲子園で取れなかった1勝を目指し、早鞆ナインがスタートを切った。【前田泰子】

 ◆大越基(おおこし・もとい)1971年(昭46)5月20日、宮城県七ケ浜町生まれ。小学2年から野球を始め、仙台育英ではエースとして3年春、夏と甲子園に連続出場し春は8強、夏は準優勝。早大に進んだが1年で中退。その後、渡米し1Aサリナス入団。92年ドラフト1位でダイエー入り。投手では13試合に登板し0勝0敗。96年に野手に転向し03年で引退。引退後、山口・東亜大に入学。教員免許を取得し07年4月に早鞆の保健体育教諭に。09年5月に高校野球の指導者として認定され同年9月、監督に就任した。