<全国高校野球選手権:天理3-1宮崎工>◇10日◇1回戦

 52年ぶりに出場した宮崎工(宮崎)が天理(奈良)に敗れ、54年ぶりの夏の勝利は挙げられなかった。エース長友宥樹(3年)は3失点完投と粘ったが、打線が相手を上回る8安打を放ちながら、わずか1得点で逆転負けした。

 ノーシードから甲子園へ突き進んできた宮崎工の快進撃が止まった。天理に2点差で惜敗。念願の校歌は歌えなかったが、甲子園出場26度目の強豪を相手に互角の戦いを見せた。

 6回2死一、三塁で4番伊比井が左前へ先制適時打を放った。だが、その裏、内野守備の乱れで2点を失い逆転を許した。流れは天理に向き始め、7回1死三塁で無警戒の中、スクイズを決められてダメ押し。「相手がリードしていたので、スクイズは全く頭になかった」とマウンドの長友もベンチも不意を突かれた。長友は粘りの投球を見せたものの、甲子園経験豊富な天理にジリジリとペースを握られてしまった。

 安打数は相手を上回る8安打だった。10年センバツで広陵(広島)に2安打完封負けして以来、打力アップが課題だった。冬場はパワーをつけるためにバットより20センチ長く、重さ2キロの工事用鉄筋にグリップを巻いてスイングした。「うちの持ち味は80~90%出せたと思う。安打を打つことはできたけど適時打が出なかった。打線がつながらなかった」と関主将は課題を挙げた。4番伊比井、1番浮田ら4人が2年前のセンバツメンバーの弟。「応援で甲子園に来て、絶対自分もここに来たいと思った」と伊比井は言う。初戦突破はならなかったが、兄がかなわなかった夏の甲子園出場を果たした。52年ぶりの夏の扉を開けたナインは、後輩に夏の勝利を託した。【前田泰子】