<全国高校野球選手権:作新学院19-3立正大淞南>◇16日◇2回戦

 作新学院(栃木)が、中軸の本塁打3発で大勝した。4回、3番篠原優太外野手と4番高山良介捕手(ともに3年)が連続本塁打。7回には5番山下勇斗内野手(2年)も3ランを放った。1928年(昭3)の和歌山中以来、84年ぶり2度目のクリーンアップの本塁打そろい踏み。19安打19得点で立正大淞南(島根)を下した。

 記録的な本塁打ショーは、苦労人の1発から始まった。4回1死。3番篠原が外角直球を捉えると、打球はライナーで左中間のフェンスを越えた。1回戦の佐久長聖戦に続く2戦連発で、中軸3発の口火を切り「全然入ると思ってなかった。コンパクトに振り抜いた結果です」と喜んだ。

 この夏にかける思いは、誰よりも強い。昨夏は、右腰部の腰椎分離症でベンチ外。昨秋は4番としてセンバツ出場に貢献したが、大会直前に右鎖骨が折れて離脱した。6月には右眼窩(がんか)底骨折と苦難が続いた。7月上旬に両親の計らいで、おはらいをしてもらったほどだ。昨夏の4強は「素直に喜べない自分がいた」。あれから1年。悔しさをバットに乗せて、4安打6打点と暴れた。

 主砲の4番高山も「あいつがいると厚みが増す」と、頼れる篠原に続いた。ベンチの興奮冷めやらぬうちに2者連続となるソロを左翼席に運んだ。山下の故障で、6月に右翼から捕手にコンバートされた。「(相手投手の)配球は考えない。甘い球に手が出なくなるから。(篠原に)続いて出塁しようと思った」。本能のままにバットを振り、本塁打を含めて5安打4打点と活躍した。

 中軸の3発は、その山下が締めた。7回に、左越えの3ラン。昨夏から正捕手を務めたが、右肩を痛めて今夏は一塁で打撃に専念する。「3、4番が打っていたので自分もと思った。打った瞬間に入ったと思った。リードのことを考えないので、次にこう打とうと考えられる」と、プラス思考で積極的に打って出た。

 圧巻の19点は、50年の宇都宮工の16点を上回る県勢最多。「打って打って打ち抜く野球をしたい」(高山)。勢いそのままに、打ち勝つ野球を貫く。【今井恵太】

 ◆クリーンアップトリオが本塁打

 28年和歌山中の3番土井寿蔵、4番小川正太郎、5番山下好一が2回戦の佐賀中戦で放って以来で84年ぶり2度目。