高校生最速の160キロ右腕、花巻東(岩手)・大谷翔平(3年)が18日、岩手・花巻市内の同校で、メジャーを含めたプロ入りの意思を表明した。国内とメジャーの選択について「五分五分です」とし、各球団との面談を行った上で決断する。今日19日に、プロ志望届を岩手高野連に提出。早ければ明日20日にも、日米各球団との面談が始まる。3年前には菊池雄星投手(西武)が日米20球団と面談したが、10月25日のドラフト会議を前に争奪戦が繰り広げられることになる。

 提出予定のプロ志望届に筆を入れた後、大谷が1つの方向性を出した進路について、初めて口にした。「(国内の)プロかメジャーリーグかという決断は、自分と家族、周りの人と下しました」。体が成長過程ということもあり、大学や社会人も視野に入れていたが、進路をプロに絞った。今月上旬まで日本代表の一員としてIBAF18U世界野球選手権(韓国・ソウル)に出場。初の世界大会だったこともあり「レベルの高い同い年と野球やって、そういう選手に負けたくない、高いレベルでやりたいと思った」と刺激を受け、決断に至った。

 注目される日米の選択については「五分五分です」と現段階でフラットであることを強調した。さらに「意中の球団はない」とも話した。

 大谷

 メジャーリーグは素晴らしい場所だと思うし、多くの名選手もいる。最初(高校卒業直後)から挑戦したい気持ちで花巻東にも入ってきた。プロ野球は、野球を始めた時から、ここで活躍したいと思っていた場所。両方とも魅力があります。

 今日19日にプロ志望届を提出し、早ければ明日20日から各球団との面談が始まる。

 投手だけでなく、打者としても高校通算56本塁打の打力が高い評価を受けている。すでにドジャースなどメジャー5球団が、電話も含めたあいさつを行っているという。流石(さすが)裕之部長は「(国内球団の)ほぼ全部から『興味を持っている』という旨の連絡を頂いてます」と説明。大谷がメジャーにも興味を示したことで、今後、手を挙げるメジャー球団が増えることも予想され、3年前20球団と面談した菊池を上回る可能性もある。

 面談は「雄星の時と同じになると思う」(流石部長)と、佐々木監督と大谷本人が同席する見込みだ。大谷は「環境について聞きたい。ドラフトで指名されるような選手がアメリカに行くのは初めてで、不安もある。最終的にはどこでやりたいかが一番だと思うけど、これからのドラフトに影響も出ることかもしれない。自分だけじゃ貫けない部分もあると思う」とも付け加えた。

 決断のリミットについては「今の段階ではすごく悩んでいる。早く決めたいなとは思っている」。即メジャーを選ぶのか、国内プロを選ぶのか-。20年に1人といわれる男の周囲が、にわかに騒がしくなってきた。【今井恵太】

 ◆高校生とプロ志望届

 日本高野連に所属する野球部員は、日米問わずプロ入りを希望する際、所属する都道府県高野連にプロ志望届の提出が義務付けられている。提出した翌日から日米プロ球団の話を聞くことが可能となる。日本のドラフトに指名された後、大リーグ入りを希望した場合、翌年の3月31日まで指名球団に「選手契約締結交渉権」があり、契約は4月1日以降になる見込み。