<高校野球神奈川大会:横浜3-2横浜隼人>◇22日◇4回戦◇保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム

 さあ、桐光学園にリベンジだ。横浜が横浜隼人に逆転勝ちし、8年連続で8強に進出。スタメン唯一の3年生、長谷川寛之主将が同点打を放つなど、チームの柱としての存在感をみせた。明日24日の準々決勝で昨夏の覇者・桐光学園と対戦する。

 試合を振り出しに戻す一打を放つと横浜・長谷川はスタンドへ向けて拳を突き上げ、ほえた。1-2で1点を追う6回2死二塁。「真っすぐを狙った」と内角低めの直球を踏み込んで振り抜いた。同点の適時二塁打は、ベンチ入り出来なかった3年生たちが声をからしながら声援を送る左翼応援席の前で高く跳ねた。

 スタメンで唯一の3年生で主将。3年生部員は30人弱だが、メンバー入りできたのは半分以下の10人しかいない。ほとんどが応援などの裏方に徹している。試合に出られない仲間の思いを乗せた一打に「チャンスに打席を回してくれた仲間が打たせてくれた」と喜びを爆発させた。

 この打席まで11打数1安打と不振を極めた。悩む主将に14日に行われた藤沢清流戦後の夜、渡辺元智監督(68)からメールが届いた。「お前がチームを引っ張ってきたんだ。思い切ってバットを振れ。今までのことを信じろ」。3年目で初めて送られてきた1通に「どんなに不振でも使ってくれた監督のために勝ちたい」と覚悟を決めた。この日も試合前にメールを読み返し、気持ちを高めた。

 24日の準々決勝では怪物・松井を擁する桐光学園と対戦する。昨夏は準々決勝で松井から先制となるソロ本塁打を放つも惜敗。今春も敗れているだけに「この日を待っていた。去年の夏、桐光学園に負けて『打倒横浜』から『打倒松井』に神奈川がなってしまった。リベンジしてもう1度横浜ブームを戻したい」と意気込む。監督と仲間の思いを背負った主将が、神奈川の覇権を取り返しにいく。【島根純】

 ◆横浜VS桐光学園

 桐光学園に松井が入学してからの成績は2勝2敗の五分となっている。11年夏は決勝で対戦。1年生の松井が先発するも、横浜が延長10回に2-1でサヨナラ勝ち。同年秋季県大会は松井が完投したが、4-3で競り勝った。昨夏は準々決勝で対戦し11三振を奪われ、3-4で敗退。今春にも県大会4回戦で激突し、0-3で完封負け。5安打しながらも13奪三振を喫した。