<高校野球宮城大会:聖和学園5-2仙台商>◇28日◇準々決勝◇石巻市民球場

 聖和学園が仙台商を破り、2年連続の4強入りを決めた。1-1の8回、2番臼井恭大内野手(2年)がノーサインでバスターを決めるなど好機を広げて一挙4点。昨秋、今春は地区大会で敗れたが、今大会前からチームの一体感が増し、選手の積極性にもつながっている。

 1-1の8回無死一塁、聖和学園の底力が発揮された。カウント1ボール2ストライク。小野浩史監督(30)の指示はセーフティーバントだったが、打席の2番臼井が選んだのはバスターだった。「バントの構えでサードがかなり前に出てきていた。自信はあった」。たたきつけた打球は三塁手の頭を越え、左翼手の失策も絡んで無死二、三塁。小野監督は「あれで勝ったと思います」と絶賛した。

 続く3番相馬萌人外野手(3年)は平凡な三ゴロ(記録は内野安打)だったが「バットに当たった瞬間に行け(走者はスタートしろ)」の“ギャンブル采配”が決まる。焦った三塁手がボールを握り損ねた間に、三塁走者が生還。その後も犠飛、スクイズ、暴投で加点した。

 昨夏初めて4強入りしたが、新チームは秋も春も県大会にすら出場できなかった。今夏のメンバー発表では、主力の1人が2ケタの背番号を与えられたことに不満げな態度を示した。しかし、それが監督、選手が本音で話し合う機会にもなり「バラバラだったけど、あそこで変わった」と小野監督は言う。

 選手が考えて仕掛ければ指示を徹底することもできる。ベンチに漂うイケイケの雰囲気がその流れを呼ぶ。準決勝の相手は昨夏と同じ仙台育英。勢いそのままぶち当たる。【今井恵太】