プロ通算191勝右腕がエースの心得を伝授した。北照コーチに今春、就任した元ヤクルト松岡弘氏(66)が13日、小樽市内の同校を訪れ、本格的に指導を始めた。

 3月の沖縄合宿で対面は済ませ、呼吸法や体重移動などを教え込んでいた。この日はプロ注目の左腕、斎藤綱記主将(3年)ら投手を中心に約4時間、まずはメンタル面の重要性を説いた。春の地区初戦を3日後に控え、「ピッチャーは代表してマウンドに立つ。それだけの責任を負っているんだ」と選手に語りかけた。

 ヤクルト時代は78年のリーグ初制覇、日本一に貢献したが、倉敷商で甲子園経験はない。3年夏は準決勝で岡山東商に3-3で引き分け、再試合で散る惜敗だったが「悔いは残ってない。精いっぱいやったから」。目標に向かって全力を出し切り、自らを最大限成長させる-。そんな3年間をナインに望む。

 今回は20日まで滞在予定。プロを夢見る斎藤主将は「松岡さんの言葉には1つ1つ重みがある。アドバイスされたら一瞬で良くなるから不思議」と驚き顔で「松岡さんを連れて行ってあげたい」と2年連続の夏甲子園を誓う。松岡コーチは「どんどん後押ししてあげたい」と柔和な笑みを浮かべていた。【保坂果那】