日本学生野球協会は9日、都内で審査室会議を行い、2年生6人による1年生19人への悪質な部内いじめがあった済美高(愛媛)に、8月9日から来年8月8日まで1年間の対外試合禁止処分を科した。1年間は対外試合禁止処分としては最も長い期間で、来春センバツはもちろん、来夏の甲子園出場も絶望となった。

 済美高は春夏の甲子園に通算6度出場し、春は優勝と準優勝、夏も準優勝の実績がある強豪。4月末以降、2年生が1年生に対して、恒常的に顔や腹部などへの暴力を振るい、被害部員が19人と多かったことも、重い処分につながった。

 主ないじめは

 ◆カメムシ事件

 4月の練習試合中、2年生2人と1年生1人がボールボーイ役を務めた。2年生1人が1年生に対してもう1人の2年生にちょっかいを出して怒らせるように指示。怒った2年生が、棒で拾った死んだカメムシを食べるか、灯油を飲むかの選択を迫り、1年生はカメムシを3秒間口に含んで、吐いた。

 ◆ケンカ事件

 5月31日の練習前、2年生4人が1年生同士でケンカをさせることを発案。順番に7組ケンカさせ、「もっと強く殴れ」などと指示した。主導した4人のほか、2年生5人が傍観していた。

 他にも練習中の態度などを理由に、尻をバットでたたいたり、至近距離から硬式ボールを投げ付けたりと日常的に暴力を振るった。レギュラー組が遠征時などが多く、日本高野連・西岡宏堂審議委員長は「悪質で、根が深い」と言った。

 同校野球部には、ドラフト1位候補の安楽智大投手(3年)が所属していた。8月初旬に問題が発覚してから活動を自粛し、秋季愛媛大会への出場を辞退。今月2日には、04年センバツで初出場初優勝に導いた上甲正典監督(享年67)が、胆管がんのため死去した。