全国高校野球山形県大会の組み合わせ抽選会が26日、山形市内で行われた。

 昨年、19年ぶりの夏1勝を挙げた山形・金山は、正捕手の星川博人(当時2年)が1月に死去。2年連続の勝利を、亡き友にささげる。

 10人の部員を引っ張る高橋裕二主将(3年)は「強い相手でも、自分たちが今できることをやりたい。けど、戦力は去年よりも…」と言葉を詰まらせた。どうしても、この夏を逃せない理由があった。

 誰よりも野球が好きで、誰よりもこの夏を楽しみにしていた選手がいた。今年1月8日、始業式の朝。高橋は同級生だった星川さん(享年17)が前日の朝亡くなったことを聞かされた。急性白血病だった。

 星川さんは昨夏、捕手として3年生投手を好リードし勝利に導いた。だが3年生の引退後、4人になった野球部はまとまった練習ができず、部としては「活動停止状態」に陥る。それでも星川さんだけは練習を続け、夏休みには隣町の真室川高の練習にも参加した。たったひとりになっても、星川さんは2年連続の白星を信じていた。教室では高橋と「春になったら1年生をたくさん集めて野球をやろうな」とも話していた。

 今年の新入部員は2人。彼が願った大会出場を実現させるためにボート部、バドミントン部、バスケットボール部から計4人の助っ人を集め、3年生の再入部員1人を合わせ10人で今大会出場にこぎ着けた。初戦は13日の酒田東戦に決まった。抽選会後、高橋は星川さんの家を訪れ、抽選結果を報告した。亡き友の夢の続きを、チーム全員で実現させる。