<全国高校野球選手権:東邦15-10北海>◇6日◇1回戦

 東邦(西愛知)の山田祐輔捕手(3年)が史上3人目、捕手では初の先頭打者初球本塁打を放った。北海(南北海道)戦の初回に、右中間スタンドに運び、4安打5打点と大暴れ。チームは計3本塁打で15-10と打ち勝った。

 試合開始のサイレンを鋭い金属音が切り裂いた。舞い上がった打球は右中間スタンドへ突き刺さった。右手を突き上げてダイヤモンドを回った1番山田祐輔捕手(3年)は「初球からいこうと思っていた。まさか入るとは思わなかった」とはにかんだ。夏の甲子園で通算12本目となる先頭打者本塁打。初球打ちの本塁打は史上3人目となる快挙だった。公式戦ではこれまで1本塁打しか放っていなかった1番打者が大舞台で観衆の度肝を抜いた。

 プロ注目、北海の右腕鍵谷の自信の144キロ初球を打ち砕いた1発は、狙い通りの本塁打だった。「先頭打者が打てばチームも勢いに乗ると思っていた。結構、相手ピッチャーにはダメージになったと思う」。初球の直球を狙い澄ましてバットに乗せた。前日の5日には母千鶴子さん(46)に「絶対に先頭打者ホームランを打つから!」とメールを送っていた。

 森田泰弘監督(49)もリードオフマンの働きに目尻を下げた。「あそこでよく振ってくれた。(山田は)勝負強いし、好不調の波がない。チームに勢いがつけられた」。4安打5打点の活躍で主将、捕手、1番打者の3役をしっかりとこなした男を高く評価した。

 山田の本塁打で火がつき、チームは3本塁打を含む19安打15得点を挙げた。夏15度目の出場となる東邦にとっても15得点は最多記録。「あとのバッターに勢いをつける仕事がしたい」と山田。初の夏の甲子園優勝へ、切り込み隊長のバットがうなる。【桝井聡】