<高校野球神奈川大会>◇28日◇準決勝

 東海大相模が12-7で武相を下し、神奈川決勝は史上5度目となる横浜VS東海大相模の名門対決になった。今秋ドラフト上位候補の一二三(ひふみ)慎太投手(3年)が3点差に迫られた7回から緊急救援。33年ぶりの優勝へ、最速146キロで3回2安打無失点に抑えた。

 3点リードで迎えた8回裏1死一、二塁。東海大相模のエース一二三が打たせた内野ゴロで、2死となりそうだった場面が一転した。遊撃手の捕球失策で1死満塁。突如訪れたピンチで、一二三は武相の9番打者に141キロの直球で勝負した。空振り三振。「三振はここぞっていうときに取りにいきます。流れを持って行かれないように」と狙い通りだ。続く1番も、内野フライに打ち取った。

 緊急登板だった。先発は同じ右横手投げの江川恭介投手(3年)。試合前からブルペンで準備はしたが「最初点差が開いてたんで、今日は出番ないかな」と思っていた。だが6回までに3点差に詰め寄られ、急きょマウンドへ。3回を2安打2四死球と走者は許したが、冷静だった。6回11安打7失点(自責2)の江川も「後ろに一二三がいるのは大きい」と安心して後を任せた。

 決勝戦で対戦する横浜には、昨夏5回戦で敗れている。門馬敬治監督(40)は「悔しくて翌日から練習したのを覚えている。横浜に始まって横浜に終わる1年。勝って『強い』と言われたい」と闘志をむき出しにした。

 過去の決勝での対戦は2勝2敗の五分。一二三は「初回からとばして、逃げ切り先行でしっかり0に抑えたい」とスタートからエンジン全開で戦う覚悟だ。今大会、部員がおそろいで着ているTシャツの背中には、センバツに続いて再び甲子園へ戻ろうという思いを込めた「約束」の文字が。約束の地へ行く切符を得るまで、いよいよあと1つだ。【鎌田良美】