エンゼルス大谷翔平投手(24)の話を聞き、行動を見ていて、よく思うことがある。「自分が24~25歳の時はどんな感じだったかな?」。社会人2~3年目か。新聞製作の部署「整理部」にいた。毎日、できる限りに仕事をして、ある程度、新聞製作のイロハを学んだ。最初は使いものにならなかった自分が、多くの仲間、先輩方に助けられ、ほぼ毎日、お酒を飲んでリフレッシュし、なんとか乗り越えた日々だった。

大谷は約7カ月のリハビリを乗り越え、打者復帰した。ひとくくりに同じ「乗り越えた」と言うのもおこがましいし、やっぱり「なんか違うなぁ」と思ってしまう。おそらく自分に明確な目標が、なかったからだろう。仕事での予習や復習にも、正直(今だから言えるが)熱心じゃなかった。まして、失敗した紙面作り、仕事の進め方、振り返るのは嫌だし、怖かった。

大谷はキャンプ中だった今年2~3月、昨年の投手の映像や書き留めたノートを見直し、復習をしていたという。興味を持ったのは、その復習の仕方だ。空振り三振の映像、いわばパフォーマンスが悪かったシーンも「見ますね」とはっきり言った。復習でしっかり失敗を受け止め、予習で目標を定め、前を向いていく。野球の能力だけでなく、24歳で既に洗練された考え方にも驚くばかりだ。

年齢は関係ないが、24歳の青年によく勉強させられる。大谷は、打者出場とともに投手としてのリハビリを続けるという、前例のない道をこれからも歩む。「二刀流で復活」。夢に挑戦し、目標とするものに突き進む姿は、取材する側としても日々感化される。記者の囲み質問ではたまに、真面目な受け答えの最中に突然、笑いを誘う。そんな面白さもある。記者は35歳だが、夢を諦めず、楽しく、挑戦する人生にしていきたい。大谷に密着して、そう思う。【MLB担当 斎藤庸裕】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)