制限だらけの環境に、メジャーリーガー達はスムーズに適応できるのだろうか。

米大リーグ機構(MLB)が選手会に提示した新型コロナウイルスの感染予防マニュアルには、検査の方針や社会的距離(約1・8メートル)の確保に加え、試合中の行動規制なども明記された。

これまで日常だったことの多くが、禁止となる。例えばダグアウトにあったひまわりの種はなくなり、選手らが食べ終えた後の殻もベンチに散らばることはないだろう。

ひまわりの種をかみ、殻を吐く行為は、米国の野球選手が子供の頃から行っていることだ。4年前、記者は米サンディエゴで10歳前後の少年野球チームに同行し、メンバーと交流するイベントに参加したことがある。試合中、野球少年たちがひまわりの種をかみ、中身を食べてはグラウンド上に殻を吐き出していた。ベーシックな味もあれば、バーベキュー風味のものもあった。

興味本位で子供たちと共にかんでみた。口の中で殻を割り、中身だけを食べる。その後、殻を口の外に出すのは、なかなか難しかった。バーベキュー味といっても殻に味がついているだけで、中身は同じだ。それはさておき、いとも簡単に口の中でひまわりの種を割って食べ、殻を口外にツバのように吐き出す野球少年たち。良い悪いではなく、米国の野球文化に根付く1つの行為なのだろう。

メジャーの試合でも、ひまわりの種が入った袋が各チームのダグアウト内に用意されていた。気軽に取って、食べて殻を吐き出す。ベンチで待機中は、ルーティンのような感覚だった選手もいるかもしれない。

これはあくまで禁止事項の1つで、他にも多くの環境が劇的に変わる。球場でシャワーを使用できず、遠征先のホテルでは事実上、外出禁止。選手にとっては、安全や健康面以外でも困難があるが、メジャー開幕のためには、避けては通れない。時にはルーティンを変える必要も出てくるだろう。適応力が、想像以上に求められるシーズンとなりそうだ。【斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)