MLBでは現在、両リーグの優勝決定シリーズが行われ、ポストシーズン(PS)の白熱した戦いが続いている。今季、162試合のレギュラーシーズンを投打の二刀流で完走したエンゼルス大谷翔平投手(27)は、メジャー4年目もPS進出がかなわず、来季の巻き返しに向けてオフを過ごしている。想像上だが、仮にエンゼルスがPSに進出した場合、大谷の起用法はどうなったのだろうか。

ア・リーグ優勝決定シリーズまではDH制が使えるため、登板日はDHを解除して投打で同時出場し、登板日以外はDHで出場するというスケジュールは、さほど変わらないだろう。強いて言えば、大谷の打力を生かし、登板日に投球を終えた後、外野守備につく頻度は高くなるかもしれない。

今季は23試合の先発で、投打での出場は20度。そのうち4度、登板後に右翼の守備についた。マドン監督は10月2日、来季の起用法について「来年も同じルールであれば同じように彼を起用して、(シーズンの)後半になって意味のある試合であれば守備につかせるだろう」と話している。だとすれば、負けられない戦いが続くPSでは、レギュラーシーズン以上に投打のフル稼働が期待される。

今オフ、両リーグのDH制採用が議論され、ルール変更となる可能性はあるが、ここでは投手が打席に立つナ・リーグの現行ルール継続を想定する。ワールドシリーズでは3試合、もしくは4試合がナ・リーグの本拠地で開催されるため、DHが使用できない。そうなった場合、大谷の起用法が勝敗の鍵を握るだろう。

仮に、エンゼルスタジアムで第1戦、第2戦を行い、第3戦からの3連戦をナ・リーグの本拠地で、そして第6戦、第7戦を再びエンゼルスタジアムで行った場合を想定すると、どうなるだろうか。第1戦に先発し、DHを解除して投打のリアル二刀流で出場。その後、外野手でフル出場する。翌日はDHで出場。休養日を1日挟み、3戦目からDHなしの3連戦は外野手で出場。その後、休養日を1日挟んで中6日で第6戦に先発し、再び投打のリアル二刀流での出場で登板後は外野守備につく。第7戦にDHで出場となれば、まさにフル稼働の大忙しだ。

一方で第1戦、第2戦は登板せずにDHで打者に専念する策もある。3戦目以降、ナ・リーグの本拠地で先発すれば、投手として打席に立つことが可能だ。いずれにしても、さまざまな起用パターンが生じることだろう。マドン監督の戦略は、読めないことも多い。万全の状態であることが条件だが、大谷のいないポストシーズンを見ながら、来季以降の期待が膨らんだ。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)