世界一の座をかけたワールドシリーズ「ドジャース-アストロズ」が開幕しました。29年ぶりとなるドジャースに対し、アストロズは12年ぶりの出場です。全30球団の中でわずか2チームしか出場できないわけですから、この両チームのように間隔が空くことも珍しくありません。今季のダルビッシュ(ドジャース)、バーランダー(アストロズ)の例を挙げるまでもなく、シーズン中の大型トレードが活発になった近年は、開幕時とポストシーズンでは各チームが様変わりし、最終的に戦力が伯仲する傾向があります。それだけに、たとえ公式戦で多くの白星を重ねても、ポストシーズンを勝ち抜けるとは限りません。

 実際、1998年~2000年まで3連覇したヤンキースを最後に、昨季までの間に連覇したチームはありません。その間、ジャイアンツが2010、12、14年の5年間に3回世界一にの座に就きましたが、連覇とは無縁でした。今年も昨季世界一のカブスがリーグ優勝決定シリーズでドジャースに敗れたため、またしても連覇は達成されず、これで17年間、毎年チャンピオンが変わることになります。

 当然のことですが、前年覇者は他球団から徹底的にマークされる立場になります。ポストシーズン中はなおのことで、ドジャースのクローザー、ジャンセンはカブスとのシリーズを前に「ディフェンディング・チャンピオンを倒してこそ、本当のチャンピオンだ」と、対抗心を隠そうとしませんでした。

 連覇が難関なのは言うまでもありませんが、アストロズをはじめ、パドレス、ロッキーズ、レンジャーズ、レイズ、ブルワーズはWSの経験こそあるものの、世界一を逃しています。2012年以来、6年間で地区優勝4回のナショナルズ、01年以来プレーオフ進出を逃しているマリナーズの2チームにいたっては、依然としてWSへコマを進めたことがありません。

 それほどWSに出場すること、チャンピオンリングを手にすることは難しく、メジャーリーガーにとって「夢」とされるわけです。ドジャースが29年ぶりに頂点に立つのか、アストロズの初制覇か-。

 いずれにしても、世界最高の舞台で、最高のプレー、試合内容を期待したいものです。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)