今年も「夏の風物詩」と言われる夏の甲子園大会の予選が、全国各地で始まりました。第100回を迎える今年の記念大会には、全国から3781校が予選に参加することになっています。新聞やテレビなどでは、各地区の予選から結果が詳細に報じられ、本大会は全試合がテレビの地上波で生中継されるなど、あらためて日本人の「高校野球好き」を実感します。

 野球先進国と言われる米国ですが、これほどの規模の高校野球選手権は存在しません。国土が広大すぎることもあり、高校野球は各州のチャンピオンを決める大会で終了します。その後、有力選手を集めてセレクションを行い、選抜チームを編成しますが、単独校として全国チャンピオンを決める大会はありません。

 その代わりと言うわけではありませんが、大学になると全米大学体育協会(NCAA)が主催する「カレッジ・ワールドシリーズ」と呼ばれる全米選手権が、毎年6月に開催されます。全国から各カンファレンスを勝ち抜いた8チームが、大学野球の聖地とされるネブラスカ州オマハの「TD アメリトレードパーク・オマハ」に集まり、大学チャンピオンの座を競います。

 大学の全国一を決める大会にもかかわらず、「ワールドシリーズ」と名付けてしまうあたりは、いかにも米国らしいところですが、アメフットやバスケットボールと比較しても、かつてはさほど注目される大会ではありませんでした。トーナメント方式の甲子園大会と違い、ダブルエリミネーション方式や3試合制を採用しているため、期間も長くなりますが、近年はスポーツ専門局で生中継されるなど、着実にファン層は広がっています。米国の場合、直前にメジャーリーグのドラフト会議が行われるため、強豪校になると、複数の指名済み選手がプレーするケースもあり、「メジャー予備軍」をチェックする機会として、楽しみにしているファンもいるようです。

 1947年から始まり、今年で71年目を迎えた「カレッジ・ワールドシリーズ」は、オレゴン州立大が3回目の優勝を飾り、幕を閉じました。

 一方、日本国民から愛されてきた夏の甲子園大会は100回目。この甲子園から巣立った球児たちが、その後、大学、社会人、プロ野球、さらにメジャーへ続く可能性を秘めていると思えば、あらためて日本球界の原点、さらに奥深さのようなものを感じます。