エンゼルスからFAになっていた大谷翔平投手の移籍先が決まりました。同じロサンゼルスに本拠を置くナ・リーグの名門ドジャースです。

ドジャース移籍が決まった大谷翔平(写真は合成)
ドジャース移籍が決まった大谷翔平(写真は合成)

そのドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)で契約合意。当初は5億ドル(約725億円)、最終的に6億ドル(約870億円)かそれに近い契約になるのではと予想されましたが、何と7億ドルという数字。思わず、チームが世界一に輝いた回数と同じ数字に感心しました。

さて、ワールドシリーズ優勝7回というドジャースを一言で表すと「勝利の伝統」でしょう。1890年にナ・リーグ加盟と歴史は古く、最初はニューヨークの下町ブルックリンに本拠を置いていました。当時は同じニューヨークの名門ジャイアンツの陰に隠れて目立たない存在でしたが、第2次世界大戦後に強くなり、1955年初の世界一に輝きました。

やがて58年に大陸横断し、はるか遠く西海岸ロサンゼルスへと本拠地移転。62年ダウンタウンの北側にある一大丘陵地にドジャースタジアムを完成させました。

ドジャースタジアム(2023年撮影)
ドジャースタジアム(2023年撮影)

すると、新球場の特性に合わせた機動力野球「ゴーゴーベースボール」で一世を風靡(ふうび)。その後も100年以上の長い歴史でウイニングトラディション、すなわち「勝利の伝統」を築いて来ました。

また、ブルックリン時代から幾多の大スターを輩出し、1947年には初の黒人大リーガー、ジャッキー・ロビンソンがデビュー。他球団に先駆けて黒人選手に門戸開放し、大リーグの新たな歴史をつくりました。また、黒人選手たちの活躍によって史上空前の黄金時代を築きました。

一方、56、66年と日米野球で2度来日。当時、ドジャースのベロビーチキャンプに巨人がしばしば練習に訪れ、「ドジャースの戦法」という教科書をもとに不滅の日本シリーズ9連覇を達成。我々日本人にとって、大リーグで最もなじみ深いチームとなりました。

ドジャースで「トルネード旋風」を起こした野茂英雄(1995年撮影)
ドジャースで「トルネード旋風」を起こした野茂英雄(1995年撮影)

さらにチームはいち早く国際化を目指し、当時のピーター・オマリー会長が野球に国境はなく、世界に野球を普及させようと尽力。北米や中南米以外にも、アジアやヨーロッパなど世界中の国々から優秀な選手を獲得。94年に大リーグ史上初の韓国人選手として朴賛浩投手、翌95年には史上2人目の日本人選手として元近鉄の野茂英雄投手を獲得。全米中に「トルネード旋風」を巻き起こし、メジャーで日本人選手が活躍出来ることを証明しました。

21世紀に入ってもドジャースは勝利の伝統を築き、特に2013年以降は11年間で10度地区優勝。

また11年連続でプレーオフ出場と、まさに黄金時代を迎えています。

【イラスト】ドジャースの最近10年成績
【イラスト】ドジャースの最近10年成績

また、1977年に大リーグ史上初めて年間観客動員数300万人を記録。

以来、毎年のように大台突破し、13年以降は20年の無観客シーズンを除き10年連続でメジャー1位の年間観客動員数をマーク。今年もメジャー最多の383万7079人を動員しました。

こうしたメジャー随一の人気と実力を誇る名門ドジャースに世界のスーパースター大谷が入団。何よりも「勝てるチーム」で悲願の世界一に輝くことを第一目標に、チーム国際化の象徴的存在としてもどんな役割を果たすか、新天地での活躍がますます楽しみです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)