日本時間で11月22日の「いい夫婦の日」にちなんで、ドジャース大谷翔平投手が「SHOHEI OHTANI FAMILY FOUNDATION」(大谷翔平ファミリー財団)の設立を発表しました。家族と共に慈善活動に乗り出します。メジャーリーグでは慈善活動に熱心な選手が多く、特にスーパースターにとって社会的地位の高さを象徴的に示す、いわゆるステータスシンボルとなっています。
それは1人の偉大な選手の社会貢献活動から始まりました。その名はプエルトリコの至宝、ロベルト・クレメンテ。1954年ドジャース入団後、ルール5ドラフトでパイレーツ移籍。すると、66年ナ・リーグMVPに輝き、4度も首位打者を獲得するなど大活躍。走攻守と3拍子そろい、性格も良く、「パーフェクトプレーヤー」と呼ばれました。
何と言っても売り物は「ライフルアーム」。ドジャース傘下時代に「右翼の帝王」ことカール・フリロより自分の方が強肩だと思い、実際に61年から外野手として歴代最多タイの12年連続ゴールドグラブ賞を受賞。72年シーズン最終戦では念願の通算3000安打も達成しました。
その年の大みそかの夜、新年を祝う大勢の家族や友人でにぎわっている時、彼はニカラグア大地震のプエルトリコ物資救援委員長としてサンフアン空港を飛び立ちました。しかし、その輸送機が離陸直後、物資と共に海中へ墜落。海のもくずと消えました。
本来なら殿堂入りは現役引退5年後に有資格となりますが、米大リーグ機構は即座にクレメンテを異例の殿堂入り表彰しました。また、71年以来、慈善事業などの社会貢献で目覚ましい働きをした選手に贈られる「コミッショナー賞」を「ロベルト・クレメンテ賞」に名称変更しました。
当初、あまりクレメンテ賞は注目されませんでしたが、毎年9月15日の「ロベルト・クレメンテ・デー」に30球団から1人ずつノミネートされ、ワールドシリーズ第3戦の試合前に授賞式が行われます。それによって、MVPに匹敵するぐらい存在価値も上がりました。
最近では2023年にアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が受賞。彼は18年に「All Rise」財団を立ち上げ、本拠地ニューヨークと出身地カリフォルニア州で、子供たちを支援する活動などが評価されました。本人は受賞の連絡を受けた時「一生忘れない、特別な瞬間だった」と振り返っていました。
また、今年は大谷の同僚ムーキー・ベッツが受賞。彼は今年1月にロサンゼルスの大規模な山火事で犠牲になった人々を支援するため3万ドル(約465万円)以上を寄付。ドジャース財団と共にホームレスや食糧難に苦しむ人々のため、16万ドル(約2480万円)の援助を行うなどサポート活動を続けて来ました。
今回の受賞にベッツは「大きな意味がある。人生というのは仕事で何をするか以上に、人にどんな影響を与えるかが大事。どんな環境の子供たちでも、自分にもできると思ってもらえるように、良いお手本でありたい」と自身の考えを語りました。
こうした球界を代表するスーパースターたちに影響を受けたようで、3年連続4度目のMVPを受賞した大谷も、ある意味MVP以上に価値があり、「真のMVP」とも言われるクレメンテ賞の受賞に来年以降、期待したいと思います。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)








