現地10月30日、2019年ワールドシリーズが決着した。最終第7戦までもつれた今年のシリーズは注目点の多い結果となっている。

なんといってもまず挙げられるのはナショナルズの初優勝だろう。エクスポズとしてカナダ・モントリオールに1969年に設立されたが、地区優勝は1981年の1回限り。2005年にワシントンに移転しナショナルズとなったあと2012年を皮切りに4回地区優勝したもののワールドシリーズには届いていなかった。エクスポズ設立から50年目、ナショナルズとなってから14年目で念願の王座獲得である。

また今回地区優勝ではなく、93勝69敗でワイルドカードからの制覇という点も目を引く。1995年にワイルドカードが導入されて以降、ワールドシリーズに進出したチームは13あり、そのうち制覇したのは7チームある。2012年からはワイルドカードのチームが2に増やされ、1ゲーム限りのワイルドカードゲームが導入されたが、そこからワールドシリーズを制覇できたのは2014年のジャイアンツ以来2チーム目だ。ナショナルズの勝負強さが光る。

次に注目したいのは、今回7戦全てでアウェーのチームが勝利している点だ。もちろん史上初のことである。普段チームと地元ファンが一体となって戦えるホームフィールドアドバンテージが言われるが、どうなっているんだという感じがしてしまう。ナショナルズは敵地で2連勝した後、ホームで3連敗し、再び敵地で2連勝して優勝となった。アウェーで4連勝はやはりシリーズ史上初である。さらにプレーオフ全体で見ても地区シリーズ第1戦でドジャースにロサンゼルスで負けて以降、敵地で8連勝しており、これは96年のヤンキースと並ぶ最長タイなのだ。

またナショナルズのシーズン半ばからの躍進ぶりも目立った。開幕50試合での成績は19勝31敗と不調で、一時は監督更迭まで囁かれたほどである。そこから立て直しての制覇である。開幕50試合で勝率が5割を切っていたチームが制覇したのは2003年のマーリンズ以来、5回目だ。

一方、シリーズへの注目度を示すテレビ中継だが、芳しくない。どの試合も第5戦でレッドソックスがドジャースを制した昨年のシリーズより低い数字が続き、第6戦も9.6パーセントに留まっている。最も注目が高まった第7戦の総視聴者数は2300万人で、これは昨年の第5戦で記録した1762万人を上回っている。ただ一昨年、第7戦の2824万人を下回るものだ。

いろいろな事を考えさせられたシリーズだったと記憶されることになりそうだ。