アストロズがワールドシリーズを制した2017年にビデオカメラを使って相手捕手のサインを盗んでいたと、スポーツ専門サイト、ジ・アスレチックが12日付で報じて物議を醸している。

これは2015年から2017年までアストロズに所属し、タイガースを経て現在はアスレチックスに所属するマイク・ファイアーズ投手が証言したもの。アストロズの本拠地ミニッツメイド・パークのセンター後方に設置されたカメラが捕手に向けて固定され、その映像がダッグアウト裏のトンネルに設置されたモニターに配信されていたという。チームの職員と選手がその映像を見てサインの解読を行い、解読できると予想される投球、具体的にはカーブやチェンジアップだとゴミ箱を叩いて打者に投球内容を知らせていたとしている。

実はこのサイン盗みが報じられるのはこれが最初ではない。2018年ヤフースポーツのジェフ・パッサン氏は「2人のメジャーリーガーが近年アストロズがゴミ箱を叩いて打者に知らせていると信じる証人がいると話した」と報じているのだ。

またジ・アスレチックは現在ホワイトソックス傘下のマイナーに所属するダニー・ファーカー投手が2017年に「チェンジアップのたびにダッグアウトからバットラックを叩く音があった。3度目の後、投球を中断した。本当にいいチェンジアップを投げていたが、ファウルにされた」という証言も掲載している。

さらにベースボールライターのジミー・オブラアエン氏は証拠映像だという動画もツイッターに投稿した。映像を見るとたしかにチェンジアップでは投球直前に「バン!」という音が聞こえるが、ストレートではそうした音は聞こえない。

ジ・アスレチックは2人の情報提供者はこのサイン盗みのシステムは2017年のプレーオフまで続いたが、別の1人はこれを否定。2018年、パッサン氏は2017年のワールドシリーズでも不正行為をしていたと信じると記している。

アストロズのジェフ・ルノーGMはGM会議が行われているアリゾナ州スコッツデールで「MLBに協力しながら内容を精査し、次のステップを決める」とコメントするにとどめている。

MLBでは近年サイン盗みが横行しているといわれている。2017年にはレッドソックスがアップルウォッチを使用して盗んだサインを伝達していたとして罰金を科された。今回アストロズにも制裁が下されるか今後の行方が注目される。