新型コロナウイルスの世界的流行で、ほぼ全てのスポーツが停止する状況が続いている。MLBも開幕延期が続き、先が見えていない。ただそんな中、現地15日に恒例の行事が開催された。ただ今回は仮想的な方法で。ジャッキー・ロビンソン・デーだ。

ジャッキー・ロビンソンは1947年4月15日にアフリカ系アメリカ人初のメジャーリーグデビューを果たした。この事を記念して2004年にMLBはこの日をジャッキー・ロビンソン・デーに制定したのだ。さらに2007年には当時レッズに所属していたケン・グリフィー・ジュニア外野手がロビンソンがつけていた背番号42を着用して出場することを提案。2009年以降は全選手、コーチ、監督が42のユニフォームを着て試合に臨むことが恒例となっている。また現在全チームで42は永久欠番にもなった。

今年はシーズンが始められず、選手が42のユニフォームでプレーする姿を見ることはかなわなかった。しかしMLBとジャッキー・ロビンソン財団などはテレビやネット、ソーシャルメディア上でこの記念日を祝うイベントを実施したのである。MLBは記念日について「殿堂入り選手の生涯を祝うもので、その遺産と影響は野球をはるかに越えており、今日でも感じられています」とコメントしている。

MLB傘下のテレビ局、MLBネットワークはグリフィー・ジュニアへのインタビューを含む、ロビンソン関連の番組やこの日をアピールしたCMなどを放送した。「不確実なこの時期に、MLBネットワークはジャッキー・ロビンソン・デーとそれに関連したすべての人々の力を祝福します。国民の娯楽を再び1つなって祝うことの意義を理解しています」としている。

SNSでは多くの選手やファンがハッシュタグ「#Jackie42」をつけ、ロビンソンやこの日への思いを投稿した。元ヤンキースのCC・サバシア氏は「4月15日は色の壁を破った男に敬意を表する」とツイートしている。

さらにMLBはYoutubeやフェイスブックなどの公式アカウントで1955年のワールドシリーズを描いた映画をライブストリーミングした。全チームの公式サイトでも関連コンテンツが掲載されている。

またジャッキー・ロビンソン財団は幼稚園から小学校の教育者と保護者に教育プログラムを提供するプラットフォーム、「ジャッキー・ロビンソン・デー・バーチャルラーニングハブ」を創設することも発表した。ロビンソンの生涯に関連した教育ビデオなどが提供されるという。

今の状況らしく「安全を保ち、自宅で健康にいること」が強調されつつも、この恒例行事が行われたことが、今後状況の改善につながることになると信じたい。