ミネソタ州ミネアポリス近郊で黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官に押さえつけられて死亡した事件をめぐって発生している抗議行動は、破壊や略奪行為を含む暴動にまで発展。全米各地だけでなく、イギリスやフランスなど海外にまで広がっている。こうした人種差別に対する事件や抗議行動はこれまで何度も起こってきたが一方で、MLBでは近年黒人選手の割合が低下してきたこともあり、いまひとつ反応が鈍いところがあった。しかし今回は違うようだ。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーからの声明などは出ていないものの、何人かの選手が抗議行動への連帯を示している。

中でもSNSで積極的に意志を示しているのがメッツのピート・アロンソ一塁手だ。25歳のアロンソは昨年メジャーデビューすると、いきなり打率2割6分、120打点、53本塁打と大活躍し、本塁打王に輝き、新人の本塁打記録を作った。新人賞とオールスターにも選出されている。

そのアロンソは5月31日、インスタグラムに「ジョージ・フロイドの殺害で私の心は傷つきました。自分の肌の色のために差別されるのがどういう感じなのか、私には決して理解できません。この種の差別に直面している人に対して、私はあなたのために戦い、味方になります。私はいつもあなたと一緒に立ちます」と投稿。

また抗議活動への連帯を示すSNS上での行動として2日に行われた、#blackouttuesdayというハッシュタグをつけた真っ黒な画像の投稿も行っている。

さらにこの投稿に対する反応にも激しく発言している。「All Lives Matter」(皆の命が大切だ)というコメントが投稿されたのだ。これは今回などの抗議活動において用いられるフレーズ、「Black Lives Matter」(黒人の命は大切だ)に対抗するフレーズとして用いられるもの。一見正しいように見えるが人種差別を隠すもので、白人至上主義につながるとされる。

アロンソもこのコメントに対し、「その無知と一緒に出ていけ。もちろん、すべての人の命が大切だが、我々は今、この国で蔓延している人種差別に焦点を合わせているんだ。問題は、なぜ黒人の命が大切だというムーブメントが、皆の命が大切だと言うより重要なのか、ということだ」と返した。

アロンソは4月にチームメートなどと新型コロナウイルスと戦う病院や緊急事態対応者に寄付を行ったほか、過去には戦傷者プロジェクトに5万ドルを寄付するなど、チャリティー活動に熱心な選手としても知られてる。