「お帰り、イチロー」-。マリナーズのイチロー外野手(44)が、インディアンスとの開幕戦に「9番左翼」でスタメン出場した。開幕スタメンはヤンキース時代の2013年以来、5年ぶり。公式戦としては球場新記録となる4万7149人から総立ちの出迎えを受けた。

 地元シアトルのファンのぬくもりに包まれたイチローは、周囲の景色を目に焼き付けるかのように球場全体を見渡した。

 「お帰り、と言ってもらえるのはもう少し先かなと思っていたんですけど、こんなふうにしてもらったらもうこの先はシアトルを離れたくない、という気持ちになりますね」

 3回裏の第1打席。ヤンキースへ移籍した12年7月以来、約6年ぶりのマ軍の背番号「51」を、超満員のスタンドはスタンディングオベーションで出迎えた。

 「そのまま聞こえてました。ただ、どうしていいのかが難しかったです。タイミングがあるんです、ああいうのって。あの後、もう1回(拍手の波が)来ると何となくやりやすくなるんですけど、1回の波では難しいんです」

 ヘルメットを脱ぎ「返礼」する時間はなかったが、感謝の思いは変わらない。

 「僕が待っているのはおかしいから、それは違うし、すぐ応えるのも違う。そこは、もう決まりごとはないんで、今日だとああいう形になる」

 サイ・ヤング賞2回のイ軍先発クルバーの前に、一ゴロ、空振り三振。2打数無安打に終わり、大声援に結果で応えることはできなかったが、相次ぐアクシデントを乗り越え、思い入れの深いセーフコフィールドに立った。イチローにとって、また新たに忘れることのできない、再出発の1日となった。【シアトル(米ワシントン州)=四竈衛】

 ◆実働27年目 イチローが出場し、日米通算で実働27年目(日本9年、米国18年)。日本球界で実働が長かったのは工藤公康、山本昌、中嶋聡が29年、谷繁元信が27年。大リーグ最長は通算324勝を挙げたノーラン・ライアンの27年で、これに並んだ。日米ともに外野手で27年はいない。

 ◆日本では 44歳以上の開幕戦出場は56年岩本義行(東映=44歳0カ月)と98年落合博満(日本ハム=44歳3カ月)の2人だけ。ともにスタメンで、岩本は3月21日毎日戦(4番右翼)で4打数無安打。落合は4月4日西武戦(4番一塁)で4打数3安打だった。

 ▼マ軍サービス監督のコメント(球場新記録となる大観衆に)「すごく感謝したい。イチローが戻ってきたこともあり、とても盛り上がった試合だった」。