エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャー初の二塁打を含む今季3度目のマルチ安打で、チームの6連勝に貢献した。ロイヤルズ戦に公式戦では初の「7番DH」で出場。第1打席で厳しい内角球を左翼線へ初二塁打を放つと、1点を追う8回には無死一塁から低めのカーブを捉え、技ありの中前打。大谷の“つなぎの一打”がチームを逆転勝利に導いた。

 華麗なバットさばきだった。1点を追う8回無死一塁、大谷は状況を理解していた。「つなぐか、つながないか、あそこはすごく重要な場面」。最低でも走者を得点圏に進める。カウントは2-2。4番手グリムの低めのカーブをコンパクトにミートした。中前へのクリーンヒットは「(打順の)下位から上位にいくという部分で、すごく良いヒットだった」。絶好機をつくり、一塁ベース上で両手をたたいた。

 パワーだけではない、「技」を見せた。2ストライクと追い込まれた後の3球目、ワンバウンドになったカーブに反応した。「ブレーキの利いた素晴らしいボールだった」。ボール球だったが、軌道をしっかりイメージした。その2球後、「気持ち(球が)浮き気味に来たので、なんとか打てた」と、低めのカーブを拾い上げた。尊敬するイチローのような技ありのバットコントロール。貴重なつなぎの一打となった。

 3戦連発など、これまではパワーで衝撃を与えてきたが、実はミート力もチームメートから一目置かれていた。キャンプの野手組練習初日のこと。チームの主軸アップトンが、大谷の打撃に目がくぎ付けになった。「打球のコントロールができる。パワーとミート力、両方ある。素晴らしい資質」と広角に打ち分ける技術を称賛。その才能はメジャーの強打者から見ても際立っていた。

 2回の第1打席では厳しい内角球を上手に逆方向へ運び、メジャー初の二塁打をマークした。前日の三塁打に続き、2ストライクと追い込まれてからの安打に「すごくいい傾向じゃないかなと思います」と声を弾ませた。

 レギュラーシーズンで初の7番に昇格した。ソーシア監督は「打順の流れというだけ」と詳細を語らなかったが、「7番大谷」がいきなり機能し、逆転への流れをつくった。最後は犠飛で決勝ホームも踏んだ。チームは6連勝。その中心に大谷がいる。【斎藤庸裕】