3月に現役を引退した前マリナーズ・イチロー氏(45=本名鈴木一朗)が国民栄誉賞の受賞を辞退すると、代理人を通じて日本政府に伝えた。菅義偉官房長官が5日午前の記者会見で発表した。打診に対して「人生の幕を下ろした時にいただけるよう励みます」と返答があり、政府は授与の検討を見送ることとなった。今回で3度目の辞退となる。

<過去の辞退者>

◆福本豊(1983年=中曽根内閣) ルー・ブロックの持つ大リーグ記録(当時)を上回る通算939盗塁を達成。「立ちションベンもできんようになるがな。国民の手本にはならへん。無理や」と辞退。

◆古関裕而(1989年=海部内閣) 「栄冠は君に輝く」「紺碧の空」「六甲おろし」「闘魂こめて」「オリンピック・マーチ」など作曲。8月に80歳で死去。遺族が「死んでから追贈されても」と辞退。

◆イチロー(2001年=小泉内閣) 大リーグ1年目に首位打者とア・リーグMVPを獲得。「まだ28歳で発展途上。野球人生を終えた段階でいただけるよう頑張りたい」と辞退。

◆イチロー(2004年=小泉内閣) シーズン262安打で大リーグ最多安打記録を更新。首相官邸に自ら電話し、「現役の間はいただくわけにはまいりません」と辞退。