【ニューヨーク(米ニューヨーク州)27日(日本時間28日)=水次祥子】カブスのダルビッシュ有投手(33)が、メッツ戦で日米通算2500奪三振を達成した。

6試合ぶりに四球を出したものの、すべての球種を自在に操り、6回に新たな持ち球とした「ハードカーブ」で空振り三振を奪い節目に到達。今季最長の8回を投げ1失点で5勝目を挙げた。

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1ボール2ストライクから83マイル(約133・6キロ)の高速カーブを投げ込み、思惑通りに空振りを奪った。ダルビッシュは「速いカーブ、良かったですね。ストライクゾーンに入ってもアウトを取れたので」と納得した。6回2死一塁で6番デービスから奪ったメジャー通算1250個目の三振は、05年のプロ1年目から積み重ねてきた2500個目の節目になった。

「気にしていない」と言いながらも「2ストライクで入ると、三振は取りにいこうとはしている。そっちの方が楽ですし」。三振を奪うことへの自負は常にある。

今でも忘れられない三振がある。06年7月15日、ヤフードーム(現ヤフオクドーム)でソフトバンク松中から奪った1個だ。6回2死一塁、1ボール2ストライクからの5球目で「144キロの外真っすぐ」だった。「松中さんって、絶対に真っすぐは空振りしないって思っていたらしいんです。『真っすぐを打ち返せ』って王さんに言われて」。平成でただ1人3冠王・松中にストレート勝負を挑み続けた。「あの松中さんからストレートで三振が取れた。すごく自信になったので覚えています」。

あれから13年。速球と変化球を自在に操り、メジャーの猛者を翻弄(ほんろう)する投手になった。ボール球を振らせてア・リーグ奪三振王となった6年前のレンジャーズ時代とも違う。「今は野球もどんどんハイレベルになってきて、ボールゾーンに投げても振らない選手が増えている。工夫しないといけない」。ストライクゾーンにどんどん投げ込むスタイルに進化。マドン監督は「6種類の球を投げたいところに投げられる。そんな投手は少ない」と目を細め「3000三振は取るだろう」と期待をかけた。

ダルビッシュは「まあ3000くらいは取りたいですね。箔(はく)が付くでしょ」と穏やかに笑った。