プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る19年」を連載します。最終回の第13回は日本人大リーガーを取り上げます。

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<マリナーズ・イチロー>

3月21日、東京ドームでのアスレチックス戦終了後、現役引退を表明した。日米通算28年(日本9年、米国19年)で、通算4367安打(日本1278安打、米国3089安)。金字塔は数知れず。大リーグ記録のシーズン262安打を樹立した04年は、両リーグ2位のピエール(マーリンズ=221安打)に41本差をつけた。2位との差はこれが史上最大だが、2位に30本差以上の独壇場はその後も出ていない。45歳4カ月で迎えた開幕戦に9番右翼で出場し、開幕戦に先発出場した野手では史上2番目の高齢。最後まで記録男だった。引退後5年経過となる2025年、日米ともに殿堂入りは確実とみられる。

<ヤンキース・田中将大>

日本人初の快挙が相次いだ。3月28日オリオールズ戦で野茂の3度を上回る4度目の開幕投手を務め、勝利投手。6月17日レイズ戦でヤンキースの日本人で初の完封&2桁奪三振。7月9日オールスター戦日本人初勝利。同14日には日本人最速の通算151試合目で70勝目。8月27日マリナーズ戦で黒田の5年連続を更新する6年連続2桁勝利。地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズで勝ち、松坂の3勝を上回るポストシーズン通算5勝目を挙げた。

<エンゼルス・大谷翔平>

18年10月1日に右肘を手術し、今季は打者専念で5月7日から出場。6月13日レイズ戦でサイクル安打を達成した。1打席目から左中間本塁打、左中間二塁打、右翼線三塁打と長打を連発し、4打席目に中前安打。1試合4安打以上が通算53度あり、サイクル安打に11度王手をかけたイチローでも達成できなかった日本人初快挙。昨季は投手で4勝しており、米データ専門会社「STATS」社によると、1900年以降に投手で通算2勝以上を挙げサイクル安打を達成したのは、20、21年のジョージ・シスラー以来98年ぶり2人目の偉業となった。

<マリナーズ・菊池雄星>

ポスティングシステムで渡米。被本塁打36は大リーグ全体でワースト3位、防御率5・46と苦戦したが、規定投球回に1死足りない161回2/3を投げた。日本人左腕の規定投球回到達は米移籍3年目の04年石井一久(ドジャース=172回)だけ。不慣れな1年目からローテーションを守った経験値は今後につながる。8月18日ブルージェイズ戦では被安打2、96球で完封した。

<ドジャース・前田健太>

先発、リリーフでフル回転し、チームの地区7連覇を支えた。対右打者の被打率1割5分8厘(285打数45安打)は、投球100回以上でトップの「右打者キラー」。ナショナルズとの地区シリーズでは打者15人(右打者13人)に被安打1。それも当たり損ないの三塁内野安打で、7三振を奪い無失点だった。5月15日パドレス戦では投げて12奪三振、打って2打点。記録専門会社エライアスによると、打点が公式記録になった1920年以降、史上初めて「12奪三振以上でチーム全打点(2点以上)」をマーク。99年野茂に並ぶ日本人投手最多のシーズン12安打を放った。

<ダイヤモンドバックス・平野佳寿>

開幕前に35歳となり、8月には右肘の炎症で負傷者リスト入り。それでも1年目の75試合に続き2年連続で60試合以上に登板した。5月15日パイレーツ戦では8回、カウント2-2から負傷降板した先発投手の後を受け、投球1球だけで奪三振を記録する珍事。9月24日カージナルス戦では日付が変わっても総力戦で集中力を切らさず、延長18回表に12番手で登板し3者連続奪三振。