【ポートシャーロット(米フロリダ州)24日(日本時間25日)=四竈衛】レイズ筒香嘉智外野手(28)が、豪快な米国初アーチを放った。オープン戦2試合目となるレッドソックス戦で2番手左腕スプリングスから、左中間の電光掲示板を直撃する本塁打をたたき込んだ。第1打席でも四球で出塁し、過去2試合で2打数2安打2四球の出塁率10割。01年イチロー、03年松井秀喜以来となるOP戦2戦連続安打と、最高のスタートを切った。

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メジャーの公式球に変わっても、あの感触は両手が覚えていた。筒香いわく「芯づまりみたいな感じ」。救援左腕スプリングス相手の第2打席。カウント2-0となった時点で狙いを定めた。左腕相手、風は右から左、バッテリーの攻めは外角中心。「僕は基本、反対方向ですので、向こうの方というのはある程度、意識しながらでしたね」。時速89マイル(約143キロ)の外角高めの速球に逆らうことなく振り切ると、打球の行方を確信したかのように、ゆっくりと走り始めた。その直後、左中間最深部の電光掲示板を直撃した打球がグラウンドに跳ね返ると、本拠地ファンからはどよめきさえ聞こえた。

左投手を苦にしない筒香にとって、左腕との勝負は調整の進行度を確認するうえで貴重な機会だった。右投手以上に、体が開かない意識が高まり、逆方向への打球の質もチェックしやすい。「日本の時も左の方が打率は良かったですし、左の方がいろんな良くなる要素が僕の中ではいっぱいある。早く当たって良かったです」。メジャーのストライクゾーンを体に覚えさせるためにも、異なるタイプの投手の球筋をより多く見ることが、今キャンプのテーマ。メジャー歴2年の救援左腕とは公式戦で対戦する可能性もあるだけに、絶好の試運転となった。

第1打席ではフルカウントから四球で出塁。前日から計4打席で2打数2安打1打点2四球と、出塁率10割となった。キャッシュ監督は初アーチを「クールだったし、左腕から反対方向への打球は頼もしい」とたたえた。その一方で「ベース外の球に広げていない」と、あらためて選球眼の良さを高く評価した。

25日(同26日)は欠場するものの、26日(同27日)のツインズ戦は、三塁でスタメン出場する予定。米報道陣に対し、「いいプレーできるように頑張ります。あんまり期待しないで」と言って笑わせるなど、徐々に環境にもなじみ始めた。「まだ2日目」と謙遜するものの、筒香が着実にレ軍の主砲への道を歩んでいることは間違いない。

◆主な日本選手の初本塁打 エンゼルス大谷はオープン戦で4安打を記録したが、いずれも単打で初本塁打は開幕後の18年4月3日インディアンス戦の3ラン。この1発から3試合連続本塁打を記録した。ヤンキース松井はオープン戦初戦の03年2月27日レッズ戦で2ランを放ち鮮烈デビュー。マリナーズ・イチローは01年3月20日アスレチックス戦で2ラン、カブス福留は08年3月4日ブルワーズ戦でソロ、ブルワーズ青木は12年3月25日ドジャース戦でソロを放ち、オープン戦で初本塁打を記録した。

◆2月は最速 筒香はDeNA時代、オープン戦通算4本塁打を打っているが、日付はすべて3月。最速は15年の出場3試合目、3月5日ロッテ戦だった。侍ジャパンでも2月の1発はない。

◆日本人大リーガーの2月本塁打 イチロー(マリナーズ)が02年2月28日パドレス戦、松井(ヤンキース)が03年2月27日レッズ戦で放ったのに次いで17年ぶり3本目。