ヤンキース田中将大投手(31)が、4日(日本時間5日)、右後頭部付近に打球を受けて練習を取りやめた。米メディアが撮影した映像によると、ヤンキースタジアムで行われた実戦形式の練習に登板した際、メジャー最速ともいわれる主砲スタントンの弾丸ライナーが頭部を直撃。マウンド上で倒れた田中は、数分後に立ち上がり、トレーナーらに付き添われながらダッグアウトへ引き揚げた。

ヤンキース広報部は、意識はあり、自力で歩行できるものの、検査を受けるため、ニューヨーク市内の病院へ向かったと発表した。練習終了後、会見に臨んだブーン監督によると、田中自身がマウンド前に防御ネットを置くことに抵抗感を示したという。田中の状態について、病院へ向かう前の段階では脳振とうの症状が見られたものの、CTスキャンの結果、異常は見られず、症状も回復へ向かっていると説明した。

病院から帰宅したことが発表された後、田中はツイッターを更新。同僚らがSNSなどを通して「田中のために祈ろう」など激励の言葉を贈ったこともあり、田中は日本語と英語で謝辞を返信した。「ご心配をおかけしております。患部に痛みはありますが、それ以外は元気です。出来るだけ早くまた、マウンドに上がれるように頑張っていきたいと思います」とのメッセージをつづった。

今後の練習日程は未定だが、MLBの脳振とうに関するガイドライン(通常は最低7日間)に従って復帰プランを進めることになりそうだ。

◆頭部直撃アクシデント 大リーグでは石井一久がドジャース1年目の02年9月8日、アストロズ戦でハンターの打球を頭部に受け、その場に昏倒(こんとう)。マウンド上から救急車で病院に搬送され、頭蓋骨の小さな亀裂と鼻骨骨折が見つかり、2時間の緊急手術を受けた。黒田博樹はドジャース時代の09年8月15日、ダイヤモンドバックス戦で代打ライアルの強烈な一打を右側頭部に受けた。30メートル近くも高く弾んだ打球がワンバウンドでバックネット横のスタンドに飛び込むほどの衝撃(エンタイトル二塁打)。精密検査で異常なし。意識ははっきりし、骨折も内出血もなかった。