カブスのダルビッシュ有投手(33)が31日(日本時間8月1日)、本拠地でのパイレーツ戦に先発し、6回2安打無失点1四球7奪三振と好投し、今季2戦目で初勝利を挙げた。最速98マイル(約158キロ)の速球にナックルカーブなど多彩な変化球を交え、三塁を踏ませない投球を披露した。

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剛腕ながら理論派としても知られるダルビッシュならではの86球だった。今季初とはいえ、相手は同地区で対戦回数の多いパ軍。互いに手の内を知り尽くしていることもあり、試合前の段階で捕手カラティニと対策を練り直した。キーポイントは、早いカウントでのナックルカーブだった。「打者が迷うんじゃないかと思いました」。近年のダルビッシュといえば、カットボールとスライダーが軸。いずれも横変化であり、130キロ前後の縦変化のナックルカーブを多投することで幻惑した。

効果は抜群だった。たとえボール気味でも、縦変化が加われば打者の目線は上下に動く。そこに11種類と言われる多種多様な球種をミックスすれば、的は絞れない。「最初は制球が乱れてる感じで、そこからメンタル面を整理して、1球1球集中することで制球もどんどん良くなったかなと思います」。春季キャンプ時から好調な速球は98マイル(時速158キロ)をマーク。1点を先行した直後の4回には、2番からの主軸を3者連続三振に仕留めるなど、自ら試合の流れを支配するマウンドさばきだった。

前日、敵地シンシナティでの登板予定で雨天中止となり、開幕2戦目で移動&スライド登板となった。調整メニューが軽めでもあり、「筋肉の質力」に不安は感じた。「早く中止を決めてくれて、早く家に帰ってリラックスできたのが良かったと思います」。コロナ禍の影響で、グラウンド内外での行動が規制される一方、家族との時間が何よりも大切な栄養源だった。

就任1年目のロス監督は「本当にすばらしいパフォーマンスだった」と、笑みを浮かべて絶賛した。開幕1週間を、5勝2敗と好発進。60試合の短期決戦に弾みを付ける、ダルビッシュの快投だった。