メジャーの複数球団がロッテ沢村拓一投手(32)の獲得へ本格調査を行っていることが27日、分かった。

17日に海外FA権の取得条件を満たした同投手は9月上旬、9年間在籍した巨人からロッテにトレードで移籍。15試合の登板で防御率1・23と結果を残している。米球界関係者の話を総合すると、メジャー球団のスカウトが移籍後の沢村の大活躍とポテンシャルの高さに熱視線を注いでいるという。今後の動向を含め、FA権行使となれば獲得へ本腰を入れて動くこととなりそうだ。

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◆解説 ワールドシリーズ後に解禁となる今季のFA市場は、例年以上に先行きが読みにくい。今季はコロナ禍で無観客となり、各球団とも収益減が著しく、マネー合戦の補強となる可能性は極めて低い。裏を返せば、特定有望選手の争奪戦ではなく、各球団の調査力、折衝力がカギを握る。

ロッテ沢村の場合、過去の実績がある一方、やや安定感を欠く部分があるだけに、評価は分かれるものと見られる。もっとも、今オフの救援部門は、トライネン(ドジャース)、コロメ(ホワイトソックス)らが中心となる見込みだが、大物は不在だけに、破格の高条件を望まない限り、沢村にもチャンスは十分ある。メジャー全体に「オープナー」「ブルペンデー」などの戦略が定着したこともあり、実績と経験のある救援投手の獲得を重要視する傾向は、間違いなく追い風と言っていい。

来季33歳となり、破格の条件や長期契約は望めそうにないものの、すべては結果の世界。ポストシーズン常連の強豪以上に、発展途上のチームであれば登板機会が増える可能性は高く、移籍後、実績を残して評価を上げる道も開かれる。名より実を取れば「沢村メジャー」は、より現実味を帯びるに違いない。【MLB担当=四竈衛】