【スコッツデール(米アリゾナ州)25日(日本時間26日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(26)が、05年松井秀喜(ヤンキース)に並ぶ日本人タイ記録となる、オープン戦5号本塁打を放った。「1番DH」で出場したロッキーズ戦の第1打席、左腕ゴンバーから左翼ポール際への先制ソロ。今キャンプでの好調ぶりは、主砲トラウトの打撃改善に好影響を与えるなど、チーム全体に好循環をもたらしている。また、次回登板は29日(同30日)のドジャース戦に決まった。

  ◇   ◇

大谷が、打線をけん引するアーチをかけた。1回1死、左腕ゴンバーの初球90・9マイル(約146キロ)の内角高め直球を捉えた。差し込まれたような当たりは角度42度で高く上がり、左翼ポール際のスタンドへ飛び込んだ。左腕からの今季初本塁打となった先制ソロは、05年松井と並ぶ日本人タイ記録となるオープン戦5号となった。

この日3打数1安打で、今季のオープン戦は初出場から11試合連続安打となった。打率は5割7分1厘。マドン監督をして「昨年とは別人」と言わしめる絶好調ぶりだ。

打率1割9分と苦しんだ昨季から、どこが変わったのか。リード打撃コーチは「ピッチングだけでなく、打撃でも課題に取り組んで、それが1つの道標になった」と明かす。オフにシアトルにある動作解析などを行う野球トレーニング施設「ドライブライン」を訪問し、そこでの打撃分析が今季の好結果につながっているという。実際、キャンプを通じ、打席での立ち位置や構えが安定。3月中旬、大谷も「1打席目からいい見え方ができている」と手応えも口にした。

大谷の好調ぶりは自身の開幕へ弾みをつけるだけでなく、過去ア・リーグのMVPに3度も輝いている主砲トラウトにも好影響をもたらした。オープン戦では思うような結果が出ていなかったが、チーム内で「大谷ドリル」と呼ばれる練習で「打席で(投手に対して体を)正対すること」を意識したという。「翔平が昨年苦しんでいた時に取り組んでいたドリルのようなもの」と詳細は明かさなかったが、“大谷効果”で主砲の打撃の感覚が戻りつつある。

1週間後、メジャー4年目のシーズンが開幕する。29日(日本時間30日)には、ドジャースを相手にオープン戦4度目の登板で投手として最終調整を行う。トラウトは「エースで、打線の中軸も打てる、2人のスターが加わっている」とたとえ、投打の活躍に期待。今季復活をかける大谷が、チームの中心にいる。