マリナーズ菊池雄星投手(29)が30日(日本時間31日)、本拠地レンジャーズ戦に先発し、7回途中3安打2失点と好投し、今季3勝目(3敗)を挙げた。最速98・5マイル(約158・6キロ)をマークするなど、メジャー3年目でレベルアップした圧巻の投球でマ軍の4連勝、勝率5割復帰の原動力となった。ローテ通りなら、次回登板は6月5日(同6日)のエンゼルス戦。花巻東高の後輩、大谷との今季初対戦が見込まれる。

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依然として入場制限があるとはいえ、1万1198人の地元ファンのスタンディングオベーションが、貢献度を物語った。5回まで1失策のみの無安打。7回に2ランを浴び、2死から初四球を与えたところで交代したが、圧倒的な投球で流れを手繰り寄せた。「全体的には満足の行く投球ができたと思います」。

ゾーンの四隅ではなく、全球種を真ん中目がけて腕を振り続けた。104球中ストライク73球とストライク率は70・2%。「すべての球を、自信を持って投げられています」。相手のカットボール狙いを察知するとボール球でファウルを打たせ、速球、スライダー、チェンジアップで的を外すクレバーさも織り交ぜた。

6試合連続でクオリティースタート(6回以上、自責3以内)をクリアするなど、3年目にして安定感が増した。4月29日の初勝利後、岩隈特任コーチからチェンジアップの投げ方について「バドミントンの羽根を打つイメージで」と助言を受けたことを機に、精度が格段にアップ。登板間の練習では、これまでは「完璧に仕上げたい」と投げ過ぎる傾向があったが、今季はキャッチボール約5分、ブルペンでも30球程度と球数減を意識。長丁場を見据え、リカバリー重視の調整法に変えるなど、着実なステップを踏んできた。

ローテ通りなら次回登板は、6月5日(日本時間6日)のエンゼルス戦。花巻東高の後輩、大谷との今季初対戦が見込まれる。試合後の菊池は「30分前に100球投げ終えたばかり。今は充実感に浸っていいと思います」と笑顔でかわしたものの、意識しないはずはない。レベルアップした菊池と、豪快弾を連発する大谷。同郷2人の力勝負は、日本だけでなく、米国ファンの視線も集めるに違いない。

▽マリナーズのサービス監督(好投した菊池について) 「毎回勝てる投球をしているし、すごく自信を持っている。タンクにすごい量のガスが入っていて、これまでに見たことがないくらい安定している」

◆菊池のストライク率 デビュー年の19年が64%、2年目の昨季は62%。今季は前回登板までが66%。この日が70・2%で、10試合の今季通算では66・5%まで上昇した。

◆菊池と大谷の対戦 19年に3度対戦し計7打数3安打、1四球2三振。6月8日の初対決では第1打席で二塁への内野安打を許し、2打席目は一ゴロに仕留めるも、4回の第3打席では初球のカーブを捉えられ左中間スタンドへソロを運ばれた。4回途中7失点(自責6)で4敗目を喫した。