【ヒューストン(米テキサス州)20日(日本時間21日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、自身メジャー最高級の投球で今季初勝利を挙げた。アストロズ戦に「1番DH兼投手」で出場し、投手では6回1安打無失点。5回までパーフェクト、先発全員からメジャー自己最多タイの12三振を奪った。打者では2点適時二塁打を含む4打数2安打2打点。自身7先発目でア軍戦初勝利と3連戦のカード勝ち越しを決め、チームの首位キープに貢献した。

大谷翔平今季初勝利 6回1安打無失点12K快投 2安打2打点で自ら援護/詳細

躍動感たっぷり、大谷がマウンド上でみるみる勢いづいた。4回、2番ブラントリーをスプリットで空振り三振。気合十分に、ほえた。3番ブレグマンも空振り三振。再び声を張り上げ、とてつもない気迫が敵地に充満した。3回から6者連続三振。「結構、集中してましたし、1イニング1イニング、中継ぎにつなぐ気持ちでいきました」。先発全員から三振を奪い、直近5年で3度のリーグVを誇るア軍を圧倒した。

初回の先頭打者から始まった奪三振ショー。アドレナリン全開で、投球間に鬼気迫る表情すら見せていたが、試合後には少し、ほおが緩んだ。ロッテ佐々木朗希投手(20)の話題を振られると終始うれしそうな表情。「素晴らしい投手ですし、(チームの)みんなも知ってたりするので、アメリカのニュースで流れたりしますしね。もっともっと頑張ってもらいたい。自分も励みにしたいと思います」。岩手県出身で同郷の後輩の活躍に刺激を受け、さらなる飛躍を胸に誓った。

佐々木朗が日本なら、大谷はメジャーで完全試合。そんな夢を期待させるほどの圧倒ぶりだった。6回1死まで16者連続で打ち取り、パーフェクト投球を披露。だが、「(完全試合は)頭にはありましたけど、球数が多かったので。9回まではいかなかったと思います」。三振を立て続けに奪う一方で徐々に球数がかさみ、72球目、8番打者に中前打を浴びた。打者を圧倒し続ける難しさ。それが理解出来るからこそ、佐々木朗の快挙を心からたたえた。

「2試合連続で、何イニングもゼロで抑えるだけで難しい。ヒットを打たれないのは、それだけ素晴らしいボールを投げているってことだと思うので、これからも頑張って欲しいですし、応援しようと思います」

自身は今季2戦2敗スタートとなったが、一気に挽回した。キャリア最高とも思える投球ぶりに、本人は「人生イチではないですね」とサラリ。だが、メジャーでは「(一番)かもしれないですね」と手応えを口にした。今季奪三振26はメジャー2位、奪三振率16・33はダントツで、この日時点で佐々木朗の16・26を上回る。メジャー5年目、進化を続ける投手大谷。ノーヒッター、完全試合の快挙達成はそう遠くない。