【ボストン(米マサチューセッツ州)3日(日本時間4日)=四竈衛】レッドソックス沢村拓一投手(34)が、エンゼルス大谷翔平投手(27)とのメジャー初対決で空振り三振に打ち取った。

4-0と4点リードした9回から4番手として登板。2死後、大谷をカウント2-2から92マイル(約148キロ)のスプリットで三振に仕留め、試合を締めくくった。「3番DH」で出場した大谷は、4打数1安打だった。

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相手が年下の後輩でも、マウンド上の沢村は、最大級の敬意を胸に、大谷の構えを見つめていた。9回2死。初球の速球は、ワンバウンドした。「自分でも力んでるなと感じました」。だが、集中力が途切れることはなかった。4球目は最速97.5マイル(約157キロ)の速球でファウルを打たせてカウント2-2。最後は同じ腕の振りでスプリットをベース上に落とし、大谷の黒バットが空を切った。

1年目の昨季はエンゼルス戦で2試合に登板したものの、大谷との対決は目前で実現しなかった。その後、大谷は満票でMVPに選出するなど、誰もが認めるメジャーの顔になった。「世界を代表する打者。胸を借りるつもりで、彼に向かって正々堂々と勝負しようと思っていました」。速球4球とスプリット1球。「胸を借りる」だけでなく、自分のスタイルで力勝負を挑み、決着をつけた。

入国ビザの取得が遅れた昨季は、キャンプ合流が遅れ、順応するまでに時間を要した。迎えた今季。ロックアウトの影響で短縮キャンプとなり、実戦不足のまま開幕を迎えた。だが、経験値が上がった沢村は、精神的にも成熟していた。「周りが見えてる、自分を客観的に見ても、今、何をしなきゃいけないか、何をすべきかを最優先にしてやれているのが一番じゃないかと思います」。目先の数字に左右されると、162試合の長丁場は心身共に持ちこたえられない。「結果に一喜一憂することなく、今日は今日で」は本音というより、信条だった。

今回が日本人とは初の直接対決。「彼だけに限らず、日本人とは対戦したいと思っています。日本人がいるチームとの対戦は楽しみにしています、全員」。試合前、笑顔であいさつを受けた大谷との真剣勝負の5球。新たに感じたメジャーの醍醐味(だいごみ)は、格別だった。

◆日本での沢村対大谷 沢村は巨人時代の13年6月5日、先発投手で大谷(当時日本ハム)と3打席対戦。空振り三振、中飛、一ゴロだった。