【アナハイム(米カリフォルニア州)29日(日本時間30日)=斎藤庸裕】6月男の面目躍如! エンゼルス大谷翔平投手(27)が、自身4連勝で今季7勝目を挙げた。ホワイトソックス戦に「3番DH兼投手」で出場し、5回2/3を5安打無失点。2戦連続2ケタとなる11三振を奪い、チームを快勝に導いた。得意の6月は、投手でメジャー初の月間4勝(1敗)を挙げ、防御率1・52。打者では打率2割9分8厘、6本塁打、17打点をマークした。お気に入り? の「シティ・コネクト」特製ユニホームを着用しての初登板で好投をみせ、得意月間を締めくくった。

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大谷はあふれ出る感情を抑えるかのように、マウンドの周りを歩き回っていた。6回1死一塁、シーツをスライダーで空振り三振に仕留めた。この時点で今季最多タイの108球。チームを指揮するモンゴメリー・ベンチコーチから交代を告げられた。「球数がかなりかさんでましたけど、投げ切るかどうかで、かなり違うので重要なところだったかなと。もう1人投げられれば一番よかった」。イニング途中での降板に、ふがいなさを感じていた。

11奪三振で無失点。ベンチに向かう際にはスタンドから拍手喝采を受けたが、笑顔はない。ハイタッチの準備をしていた同僚をよそに、悔しさをあらわにダックアウト裏へ消えた。「先制点をやらないのがまず一番。その中で長い回を投げるっていうのが先発の仕事。そこまでやって仕事は完了かなと」。先発の役目を全う出来なかったことへのいら立ちがあった。前回登板では、リリーフ陣の登板過多を考え、志願して8回を投げきった。今回は6回を投げきれず。結果は対照的だが、この2登板で共通するのは大谷の強い“意思”だった。

配球の組み立てもしかりだ。4回2死一、二塁。ガルシアへの初球で大谷はサインに首を振った。そして投じたのは直球。「空振りをとるつもりで、強く投げました」。内角へのボール球となったが、今季最速タイ101マイル(約162・5キロ)の剛球を、意図して投げ込んだ。毎回奪三振の2試合連続の2ケタKに「各球種、ゾーンの中でしっかり勝負できている。各打者の特徴を捉えながら、ピッチングが出来ているというのは大きい」と言った。手探りだった昨年から成長し、今は自らの腕でゲームメーク出来る-。自信があるがゆえに意思を貫き、進化とともに責任感と覚悟も増している。

自身4連勝で今季7勝目。チームを快勝に導き、カード3連戦を勝ち越した。得意の6月は投打で好調をキープ。「疲れも出るところかなと思いますけど、シーズンの中で一番、試合に慣れている月かなと思う。体の動きも悪くないですし、いい集中力を保てているかなと思います」。状態の良さだけではない。今はメンタルにも、勢いがある。

 

大谷の主な記録

◆月間4勝 大谷の月間4勝は渡米後初めて。昨年8月の3勝を上回った。日本ハム時代も月間勝利は4勝が最多(2度)。

◆4戦4勝 昨年、勝敗なしを挟んで8連勝をマークしているが、4戦で4勝は昨年7月26日~8月18日に並ぶ渡米後の自己最長。

◆米通算20勝 日本人投手で16人目の20勝到達。通算20勝9敗で勝率6割9分は、過去15人の20勝到達時と比べても田中将大(7割1分4厘=20勝8敗)に次いで2番目に高い。

◆21回2/3無失点 9日レッドソックス戦から通算21回2/3連続無失点。日本人投手では上原浩治の30回1/3が最長だが、先発投手では08年に松坂大輔が記録した24回1/3が最長。

◆2試合連続2桁奪三振 昨年9月19日アスレチックス戦、同26日マリナーズ戦(各10個)以来、大リーグで2度目。前回13三振を奪い、連続2試合で24個は渡米後の自己最多。奪三振率12・28は投球70回以上の投手でシース(ホワイトソックス=13・44)に次ぐ両リーグ2位。