日本でも活躍した元助っ人のジュニアが、エリート指名を待っている。MLBのドラフト会議が7月17~19日に開催される。全体1位では、元楽天外野手のアンドリュー・ジョーンズ氏(45)の長男、ドリュー・ジョーンズ外野手(18=ウェスリアン高)が最有力候補に挙がる。87年1位のケン・グリフィー・ジュニア外野手は親子で活躍し、殿堂入りしたが、期待に反して1度もメジャー昇格できなかった選手もいた。いの一番で名前を呼ばれる、56人の全米ドラフト1位を掘り下げる。

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長男ドリューは偉大な父に近づけるか。父アンドリュー氏はメジャー通算434本塁打、10年連続ゴールドグラブ、球宴出場10度のスーパースター。オランダ領アンチル諸島出身のため、16歳でアマチュアFAとしてブレーブスと契約。ドラフトには縁がなかった。だが、19歳だった96年にはワールドシリーズで史上最年少本塁打を放った。近年はゲレロ(ブルージェイズ)、タティス(パドレス)、ウィット(ロイヤルズ)ら2世選手の活躍が多く、その点での注目度も高い。

ブレーブスの本拠地アトランタで生まれたドリューは、父と同じ右投げ右打ちの中堅手。193センチの長身は父より8センチも大きいが、体重は82キロとまだ細身。強肩や俊足を備えた5ツール選手で、高校をジョージア州優勝に導き、MVPに選ばれた。あるスカウトは身体能力の高さに、遊撃手としての才能も感じたという。ハーパー(フィリーズ)級の逸材という声も。MLB公式サイトのドラフトランキングでは春からNO・1評価を続けており、名門バンダービルト大への進学が内定しているが、1位指名なら入団への支障はなさそうだ。

ドラフトでは約600人が指名されるが、日本のように入札がないため、全体1位は過去に56人だけの名誉。肩書は一生ついて回る。新人王はハーパー、コレアら4人。オールスターに出場した選手はストロベリー、マウワーら24人。MVP経験者はA・ロドリゲス、ハミルトンら7人。殿堂入りした選手はグリフィー、チッパー・ジョーンズ、ベインズの3人。一方で、メジャーの舞台に立てずに引退した選手も2人いる。3人目と思われた14年のアッペルは、18年に1度引退した後、今季初昇格を果たした。来日した選手には、全体1位で2度も指名されたグッドウィン(南海)、ホーナー、バニスター(ともにヤクルト)、バリントン(広島、オリックス)の4人がいる。

全体ドラ1、新人王、MVP、殿堂入りまで、すべて実現させた選手はいない。チッパー・ジョーンズは新人王投票で野茂英雄(ドジャース)に次ぐ僅差の2位。その後、野茂を大の苦手とした。アンドリュー氏とは両ジョーンズの主砲コンビで、ブレーブス黄金時代を支えた。日本でプレーした助っ人の息子が全体1位となれば史上初。プレースタイルで父をほうふつさせるドリューが、歴史を塗り替えるか。

◆ドリュー・ジョーンズ 2003年11月28日生まれ、米ジョージア州出身。高校2年時は打率4割4分5厘、16本塁打、39打点でローリングスによる年間最優秀守備選手、地元紙によるMVPに選出された。3年時は打率5割7分、13本塁打、39打点、32盗塁。出塁率・675、長打率1・026、OPS1・702という圧倒的な成績を残した。専門誌で全米最優秀高校生の最終候補3人にノミネートされている。193センチ、82キロ。右投げ右打ち。