<マーリンズ2-5エンゼルス>◇6日(日本時間7日)◇ローンデポパーク

メキシコの南東、カリブ海に面するニカラグアの人々にも、二刀流の勇姿を届けた。試合前、同国の有力紙「ラ・プレンサ」に寄稿するジャーナリストのヘルマン・ガルシアさん(27)が、大谷の初取材に心を躍らせていた。「彼はスター選手。母国でも、大谷のファンが多いんだ。投打のプレーを映像で見ていると思う」。同紙には毎日、メジャーリーグ面が割り当てられ、ボクシングと並んで野球人気が高いそうだ。

だが、国の情勢は厳しい状況にある。独裁色の強いオルテガ大統領がメディア規制を行い、米国に滞在するジャーナリストは「テロリスト」とも称されるほどだという。母国に家族がいるガルシアさんは「帰りたくても帰れない」と、昨年8月に1週間だけ滞在する予定を大幅に延長。危機的状況だが、唯一、国が認める有力紙に野球の情報を発信しているという。

厳しい規制に反発する国民にとって、野球はつかの間の娯楽。ガルシアさんによれば「半数くらいは大谷のことを知っていると思う。逆にトラウトのことは知らない」と笑った。同地では、MLBを代表するトラウトよりも大谷が圧倒的な人気を集めているようだ。「サッカーで言えば、メッシみたいな存在かな」。スペインリーグのFCバルセロナで世界を熱狂に包んだ大スターのように、二刀流・大谷のプレーがニカラグアの野球ファンに活力を与えている。【斎藤庸裕】