ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)が28日(日本時間29日)、ア・リーグのシーズン最多本塁打に並ぶ61号を放った。敵地ロジャーズセンターでのブルージェイズ戦の7回、8試合ぶりの1発を左翼に運び、61年ロジャー・マリス(ヤンキース)に61年ぶりに並んだ。残り7試合で記録更新を狙う。

新時代を切り開いた。3-3で迎えた7回無死一塁、ジャッジはフルカウントから8球目の152キロの甘く入ったツーシームを振り抜いた。観客席のフェンスに当たり、左翼ブルペンに飛び込んだ。飛距離120メートルの1発が61年ぶりに歴史を動かした。「ベーブ(ルース)と60号で並ぶのはいい機会だった。だが、61号のMVPで世界一となったヤンキースの右翼手と並ぶのはとても最高だ」。守備位置も同じヤ軍の先輩マリスに敬意を示した。

二塁を回ると、ネット裏で抱き合って喜ぶ母パティさんとマリスの息子に左手を挙げた。「彼女はずっと一緒だったんだ。リトルリーグ時代から、学校に行く準備も、最初の練習も」。生後すぐに教師夫妻の養子となった。感謝の思いが口をついた。

敵地が大歓声に包まれた。61年前、マリスが神格化されたルースの60号を超えた時は「試合数が違う」などと難癖をつけられた。正式記録と認められたのはマリスの死から6年後、91年だった。90年代から00年代にかけてボンズ、マグワイア、ソーサが62本以上を記録したが、筋肉増強剤の使用を疑われ、誰も殿堂入りしていない。ジャッジはボンズの73本が最多本塁打と認めるが、61本こそ真の記録とみるファンも多い。

クリーンヒーローが、残り7試合で記録更新、3冠王へも挑戦する。

○…カナダまで遠征したマリスの息子、マリスジュニアさんが、ネット裏でジャッジの1発を見届けた。「彼はクリーンでヤンキーで正しく試合をしている。62号を打てば、彼は真のシングルシーズンの本塁打王と認められるべきだ」と主張した。「マグワイアとボンズの努力は違法だと思うか」と問われると「そうだね。ほとんどの人がそう思っていると思う」と答えた。