レッドソックス吉田正尚外野手(29)が30日(日本時間31日)、本拠地でのオリオールズ戦に「4番左翼」でスタメン出場し、鮮烈なデビューを飾った。4打数2安打1打点1死球とメジャー初安打初打点をマークし、地元ファンから喝采を浴びた。試合前のセレモニーで「WBCチャンピオン」と紹介された。大会新記録となる13打点で世界一に貢献した無類の勝負強さは、メジャーの初舞台でも健在だった。

午後2時過ぎ開始のデーゲームにかかわらず、試合開始時の気温は約3度。それでも、吉田の気持ちは高ぶっていた。「寒かったけれど、心はホットでした」。6点を追う6回無死一、二塁の第3打席。救援左腕アキンが投じた時速91マイル(約147キロ)の高めの速球を捉え、二塁手のグラブを弾く中前適時打を放った。8回1死一塁の第4打席には、救援右腕ベーカーの時速95マイル(約153キロ)の速球を振り抜き、一塁手のミットを弾く右前打を放ち、マルチ安打を記録した。

昨オフ、レ軍と6年総額9000万ドル(約122億円)で契約。周囲からの重圧は、痛いほど感じた。その一方で、目指してきた舞台に立てた喜びは格別だった。「米国の国歌を聞いて、じーんと来るものがあった。この舞台に立って満足することはないけれど、本当にいろんな人に感謝しなければいけない」。

試合は、レ軍の反撃も及ばず、黒星スタート。それでも、デビュー戦を終えた吉田に充足感は残った。「球場の雰囲気を感じながら、新鮮な気持ちで今日はプレーできた。開幕の日に(安打が)出たのは大きい。今後も精いっぱいプレーしたい」。まだ1試合。だが、侍を支えた吉田の確かな手応えに、現時点でメジャーの壁は見えてこない。