【オークランド(米カリフォルニア州)4月1日(日本時間4月2日)=佐井陽介】アスレチックス藤浪晋太郎投手(28)がメジャー初登板で2回1/3を8失点と大苦戦した。

2回まで4奪三振で完全投球を披露しながら、3回の1イニングだけで打者9人に5安打3四球を献上。13年交流戦以来10年ぶりの同学年対決となったエンゼルス大谷にも2打数1安打1打点を許した。右腕はデビュー戦でなぜ突如大崩れしたのか。初黒星から今後の課題と希望を分析した。

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藤浪本人も「もったいない」と感じていたのだろう。メジャーデビュー戦を3回途中8失点で終えた直後、疲労感を隠しきれない無表情のまま、後悔の念にさいなまれていた。

「初回、2回と真っすぐで押せていた中、ポンポンと打たれ出してちょっと慎重になったというか、少し考えすぎて変化球を多投してしまった。そこが打たれた1番の原因かな、と。もっと思い切って自分の持ち味を生かせば良かった」

2回終了時点で完全投球。4奪三振すべてをスプリットで奪っていた。ところが3回、先頭打者に四球を出すと横曲がり系の変化球が急増。無死一塁から8番ウルシェラ発の3連打はすべてスライダーを痛打されたモノだ。3番大谷には無死満塁から外角高め159キロ直球で左翼フェンス直撃の適時打も献上。この回だけで打者9人に5安打3四球で8失点と大崩れした。

大リーグ初登板で丁寧に行きすぎたのだろうが、2回までが完璧だっただけに、突然の配球変更が悔やまれる。2回まで計23球のうちスライダーは7球。それが3回は計32球のうち14球だ。本人は「そっちに切り替えたのが反省点」と自戒。まだメジャー経験が浅い25歳捕手ランゲリアーズも「相手の打者がいいスイングをしていたから(配球を)変えようと思ったが、少し直球から離れてしまった」と唇をかんだ。

ただ、数字以上に光はある。2回まではこの日最速161キロの直球、最速152キロのスプリットを主体にほぼ完璧な内容。特に日本の時よりも落差が大きくシュート気味に動くスプリットは、この日1度も痛打されなかった。1回はすべてスプリットを勝負球に1番ウォード、2番トラウトを空振り三振、3番大谷も一ゴロに仕留めている。昨季23発のウォードは「消えたようだった」と脱帽。配球面を工夫すれば、メジャー初勝利は決して遠くはない。

試合後は「大谷選手だけではないけど、世界最高の選手と対戦できたのは良かった」と振り返った上で、次回の雪辱を期した。「ボール自体は悪くなかっただけに悔しい。マウンドに立てたことは光栄だけど、立つだけではダメ。反省するところは反省して、次回以降取り返したい」。防御率30・86からの逆襲へ。大胆さを貫けるか否かも注目ポイントとなりそうだ。

▽コッツェー監督(先発藤浪が3回途中8失点) 最初の2イニングを見れば、彼ができるということは分かる。直球とスプリットで完全に抑え込んだ。大谷には直球を打たれたが、あれは99マイル(約159キロ)で悪いボールではなかった。ポジティブな面にフォーカスしたい。