オリオールズ藤浪晋太郎投手(29)が、人生初のシャンパンファイトで歓喜した。ア・リーグ東地区首位のチームは2位レイズに延長戦の末に勝利し、7年ぶりのポストシーズン(PS)進出を決めた。藤浪は9回から5番手で登板し、9月7試合連続の無失点。古巣阪神が「アレ」を決めた4日後、メジャー1年目でエンゼルス大谷も届かなかった舞台に歩みを進めた。今後は9年ぶりの地区優勝、さらには40年ぶりのワールドシリーズ制覇に向けた戦いが続く。
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ずぶぬれになりながら、藤浪は飛びきりの笑顔でシャンパンファイトの中心にいた。2/3回を無失点に抑え、逆転勝利に貢献。「日本でもビールかけをしたことがなかったので、めちゃくちゃ興奮した。最高だった」と、同僚と喜びを爆発させた。
本塁打数リーグトップタイの強力打線相手に2-3の9回から登板。先頭の3番アロザレーナを空振り三振に仕留めるも、4番ローに二塁打、5番パレデスに四球を与え一、二塁のピンチを招いた。しかし次のアランダの一ゴロの間に本塁を狙った三塁走者を刺し、後を受けた抑え右腕カノが3アウト目を取った。藤浪は9月は7試合連続無失点と好調で「ストライクゾーンにアタックすることに集中している」と振り返る。9回を無失点でしのいだオ軍は直後に追いつき、延長11回に犠飛でサヨナラ勝ちを決めた。
昨オフにポスティングシステムで阪神からアスレチックスに移籍し、当初は先発として起用されたが制球難もあって中継ぎに配置転換。リリーフの短いイニングで奪三振能力が発揮され、6、7月と好結果を残しリーグ勝率トップのオ軍から声がかかった。「アスレチックスの時もみんな良くしてくれた。オリオールズの選手も自分が輪に入りやすいように話しかけたり、いい環境づくりをしてくれたりした」と、周囲に感謝した。
14日には古巣阪神が18年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた。「本当にうれしい。ビールかけをしているのを見てその場に自分がいられなかった寂しさは少しあるが、うれしいという思いが一番大きい」と喜ぶ。阪神の日本一、オ軍のワールドシリーズ制覇が「一番いい形」と話すが「まだポストシーズン進出が決まっただけ。引き締めていい結果を出せるように頑張りたい」と10月の戦いを見据えた。
◆オリオールズ 1901年、ミルウォーキー・ブルワーズとして創設。翌02年に本拠地をセントルイスに移転し、チーム名は「ブラウンズ」に。54年のボルティモア移転とともに現チーム名に変更した。地区優勝9度、リーグ優勝7度。66、70、83年に世界一。主なOBには、2632試合連続出場のメジャー記録を持つカル・リプケン、サイ・ヤング賞3度のジム・パーマーら。日本人選手は上原浩治と和田毅(登板なし)の両投手が在籍。本拠地は天然芝のオリオールパーク・アット・カムデンヤーズ(4万4970人収容)。ブランドン・ハイド監督(49)は就任5年目。