エンゼルス大谷翔平投手(29)は、2年ぶり2度目のMVP受賞が確実されています。今季は打者で打率3割4厘、44本塁打、95打点で初の本塁打王に輝き、投手では10勝5敗、防御率3・14。史上初となる2年連続の「2桁本塁打&2桁勝利」を達成しました。二刀流の活躍を続ける大谷を、他球団のライバルたちはどう見ているのか。11月16日(日本時間17日)のMVP発表まで、随時連載します。

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アストロズのアレックス・ブレグマン内野手(29)は、二刀流の大谷と最も多く対戦してきたからこそ、そのすごみが分かる。初対戦から6年。23年シーズン中盤の7月、投打のパフォーマンスについて改めて語った。

「ダイナミックなプレーを見せながら、ホームランを打ち続けている。塁に出れば、最も足の速い選手の1人。勘もいいし、野球をよく知っている。小さな細かなことも、正しくこなす。そして、マウンド上では7種以上の球種を持っている。彼はただただ、完成されたプレーヤーだ」

もっとも、ブレグマンは投手大谷にとって手ごわい“天敵”だ。メジャーの選手ではただ1人、30打席以上の対戦があり、30打数11安打で打率3割6分7厘と攻略している。秘訣(ひけつ)は特にないと言い「多くをやりすぎないこと。完璧に捉えようとするのではなく、ライナーの打球を打とうと心がけているだけ」と謙遜した。その上で、大谷の野球選手としての姿勢にリスペクトを示した。

「毎年、彼はよくなっているし、改善を続けている。遠くから見ていても、ものすごい練習熱心だと分かる。それが間違いなく、報われているんだと思う」

試合の前後で予習と復習を繰り返し、試合中にもiPadで自らのプレー映像を確認する。1プレーごとに学習を重ね、大谷の野球IQをたたえる他球団の選手や監督も多い。一方で、大谷自身はアストロズについて「徹底してくるチーム。少ないチャンスを全員が目的を持って狙ってきている。そういう強さはある」と話しており、ブレグマンも間違いなく、やっかいな打線を形成する強打者の1人だ。頭を使う、野球IQを身につけるために必要なこととは何か-。

「子どものころから、どれだけ野球を好きでやってきているか、だと思う。僕は本当に野球が大好きで、多くの素晴らしいコーチや、チームメートに恵まれてきた。たくさんの人から考え方を学ぼうと、何かを盗もうとやってきた。少しでも、よくなるために、その道を探してきたんだ」

野球愛とあくなき向上心-。求道者たちの戦いは、互いを成長させる。ブレグマンは大谷と自身を語る会話の最後に、付け加えた。

「日本でのプレーは、本当に楽しかったよ。高校の時と大学の時に、チームUSAでプレーしたんだ。日本のファンは、素晴らしかった。みんなが試合観戦に入り込んで、どれだけ野球が好きか。日本代表の練習も素晴らしかった。集中力が高く、非常に規律正しい。基本に忠実で、見ていてすごく興味深かった」

野球を愛する日本にルーツを持つ二刀流大谷。野球発祥の地アメリカでベースボール愛を貫く好打者ブレグマン。今や、対戦する試合前に楽しそうに会話を交わす2人には、どこか通ずるところがあるのかもしれない。【斎藤庸裕】

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