大谷翔平投手(29)はメジャー6年間で、他球団の主力選手とも交流の輪を広げてきた。試合前に談笑し、オールスター出場で親交を深めた選手も多い。

21年と22年の最優秀救援投手、リアム・ヘンドリックス投手(34=ホワイトソックスFA)もその1人で、大谷との初対面の時をなつかしそうに振り返った。

「19年シーズンだったかな。幸運にも(試合前に)外野のフィールドで話す機会があった。アニメのドラゴンボールZのことについて話したよ。僕のグラブの1つは、カカロット(孫悟空のサイヤ人ネーム)と書いてあるんだ。そうやって話し始めて、毎回あいさつするようになって、互いにリスペクトしてね。すごくナイスガイで話しやすい。はったりじゃない。そのまんま。僕もそうだけど、同じ感じがするんだ」

21年の球宴では、大谷からサインボールをもらった。会話をすれば笑顔が多く、フレンドリーな雰囲気をかもしだすヘンドリックスだが、今年1月にがんの1種で悪性の「非ホジキンリンパ腫」を患っていることを公表。闘病を経て5月末に復帰し、5試合に登板したが、右肘を故障。8月にトミー・ジョン手術を受けた。苦難が続いているが、一番の支えはクリスティ夫人。がんと戦い、メジャー復帰を果たした時も「彼女がいなければ、戻ってこれなかった」と話していた。

いつでもどこでも、最大の理解者であり、サポーターだが、大谷との対戦となれば、ちょっと違うようだ。クリスティ夫人は大谷の大ファンだそうで、「彼のことが大好きでね。ショウヘイの顔だらけのTシャツも持っているよ。対戦する時は、失点しなければ僕が打たれてもいいって(笑い)」。複雑な気持ちもあるだろうが、2人の対戦を楽しみにしているという。

ヘンドリックスはこれまで、アスレチックス時代から打者大谷との対戦を重ねてきた。1年目から毎年、その進化が目に見える。

「1年目のデータでは、彼には高めに速球を投げて、低めにカーブを投げて打ち取る、という感じだったけど、今は対応できる。相手投手がどうやって彼に対して投球してくるかを理解して、むしろ、それを利用する。彼は出来なかったことに取り組んで、それが出来るようになって、前進している。何か課題を見つければ、次の年には、それがなくなっているんだ。とても早く、対応できる。そこが、他の選手に比べて、すごく優れている」

二刀流・大谷に対する称賛の言葉は、絶えない。

「最高の先発投手の1人であり、最高の打者の1人であり、最も速い走者の1人でもある。この1つが優れているとか、そういう選手ではない。ただただ、特別だ。普通の人間ができないことを、彼は出来る」

そして、今後の未来については、こう続けた。

「ハッピーでいて欲しいね。野球で何が起ころうと、どんなことがあろうと、彼の幸せを願っている」

自身も右肘の手術から復活を目指す。同志としても、対戦相手としても、望んでいるのは大谷の成功だ。【斎藤庸裕】

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