<レッドソックス7-1レイズ>◇5日(日本時間6日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)5日(日本時間6日)=山内崇章】ア・リーグ東地区の首位決戦で大乱闘が起こった。レイズ先発ジェームズ・シールズ投手(26)が、2回裏にクリスプ外野手(28)に死球を与えたことから、クリスプはシールズに突進。岩村明憲内野手(29)も乱闘に加勢するなど、両軍合わせて3選手が退場となった。先発投手が序盤で降板したレイズは1-7で完敗。対レッドソックス6連敗でゲーム差は1・5に広がった。

 勝負を度外視した報復死球だった。スコア1-3、まだ序盤2回裏。先発シールズが投じた初球はクリスプの右ひざに命中した。間髪いれずクリスプもマウンドへ激走。ボクサーのような俊敏な動きでシールズのパンチを交わし、右肩にカウンターをヒットさせた。

 一瞬にしてマウンドは乱闘の渦。二塁手岩村もすぐに加勢。倒れ込んだクリスプに突進し、パンチを放ったかに見えたが、レッドソックスの選手にすぐにユニホームをつかまれ、輪の外にひっぱり出された。

 一塁ベンチにいた松坂、ブルペンの岡島も遅れて現場に駆けつけ、騒ぎをぼうぜんと見詰めた。

 伏線は前日の同一カードにあった。6回に二塁盗塁を決めたクリスプだが、その際にレイズの遊撃バートレットがベース前でひざを立ててブロックしたため左手親指を打撲した。「相手がけがをしないように頭から滑り込んだのに、許せない行為」と話すクリスプは8回に盗塁を試みた時に、カバーに入った二塁岩村に足から体当たりした。幸い岩村にケガはなかったが、レイズは日を改めてクリスプに死球で応酬した形だった。

 騒動の当事者の1人になった岩村は「あれは野球じゃない。恥ずかしいプレー」と前日のクリスプを批判。この日の乱闘に加勢したことには「グラウンドでは野球をするもの。でも味方がどうこうされるのも黙ってられない。止めなければならなかった」と、クリスプともみ合った正当防衛を主張した。結局、シールズとクリスプ、暴力行為を働いたレイズ・ゴームズの3選手が退場処分となった。

 レイズは先発シールズが2回途中退場したため、結果は1-7で完敗した。首位決戦の熱い戦いは別の次元へと流された。両軍合わせて5死球の乱戦。ファンは何を望み、何を期待し球場に来ただろうか。観客発表は満員の3万7637人。中盤5回以降はフェンウェイパークの半数以上が空席になっていた。