ポスティングシステム(入札制度)を利用し、米メジャー入りを目指していた楽天岩隈久志投手(29)の来季の残留が22日、確実となった。独占交渉権を得たアスレチックスと岩隈側との交渉は同日までに不調に終わった。

 岩隈側とア軍との交渉が決裂したのは本格折衝が始まった直後の20日(日本時間21日)。代理人の団野村氏がツイッターで明かしたところによると、ア軍は4年総額1525万ドル(約12億2000万円)を提示した。その際、ア軍が比較対象として挙げたのが、ポスティングで米国へ渡り、来季年俸が400万ドル(約3億2000万円)の井川(ヤンキース3A)と、今季FAでレンジャーズ入りし、同年俸300万ドル(約2億4000万円)の元広島ルイスだった。

 これを「全く的外れ」と一刀両断した団氏は、ポスティングで渡米した例として、来季1000万ドルの松坂(レッドソックス)と、FAの例として同1200万ドルの黒田(ドジャース)を比較対象として列挙。ア軍に再考を求めたという。

 しかし、ビーンGMは「このオファーをのめないのなら破談」「楽天に入札額の1910万ドル(約15億円)を払うから予算がない」などと回答。団氏は歩み寄る姿勢も見せたが、ア軍側にはわずかな変化も見られず、交渉は決裂しているという。

 AP通信などは、岩隈側は07年にバリー・ジト投手がジャイアンツと契約した際の7年1億2600万ドル(約100億円)を要求したと伝えた。だが団氏はツイッターで、この内容を否定。米球界関係者によると岩隈側の希望額は今季年俸から倍増の6億円が目安。岩隈本人は年俸に固執せず、関係者に「ある程度の折り合いがつけばOK」と漏らしていた。契約年数は2~3年でも真剣に検討するつもりで、オークランド周辺で家探しを始めるなど準備を進めていたという。

 団氏はツイッターで「オークランドは岩隈さんに対して四年のやく12億,これをけりました,(原文まま)」とつぶやくなど溝は深いようにみえる。また、ア軍の格安条件をのめば、後に米国に挑戦する日本人選手に悪影響を与える恐れもある。1年待てば、FAとして希望の球団と年俸で米球界に挑戦できることもあり、団氏は積極的には交渉を再開するつもりはない。