<ア優勝シリーズ:レッドソックス4-13レイズ>◇第4戦◇14日(日本時間15日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)=千葉修宏、山内崇章、木崎英夫通信員】07年メジャー最低勝率のレイズが、ついにア・リーグ優勝まであと1勝に迫った。レッドソックスとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦でも打線が爆発して13-4と大勝し、3勝1敗で王手をかけた。岩村明憲内野手(29)の連続試合安打は「7」で止まったが、反撃の芽をつみ取る併殺を決めるなど、二塁転向1年目の集大成となる守備で勝利に貢献した。

 14安打13点の攻撃以上に、岩村が勝利のポイントとして挙げたのが2回裏の守備だった。「勝敗を分けたのは2回のダブルプレーだと思う。あそこできっちり相手の流れを抑えたのが、自分たちの流れにつながった」。3点リードながら1死一、三塁のピンチ。岩村はクリスプが放った二塁ベース寄りの強い打球をさばくと、そのままベースに入った遊撃バートレットへグラブトス。二-遊-一の併殺でピンチをしのいだ。

 練習はしていたグラブトスだったが、試合では確実性を求めるため、今季ここまで封印していた。だが「あそこで確実に1つだけ(アウトを)取りにいっていたら、逆にイヤな展開になっていたかもしれない」という一瞬に体が反応した。「ココ(クリスプ)は足が速いですから。ボールを持ちかえているとダブルプレーは取れない。今日の守備は攻撃的な守備でした」。岩村は二塁転向初年度の集大成といえる、速さと確実性を兼ね備えたグラブトスに納得の表情を見せた。

 昨年、三塁手として120試合に出場し、失策はわずか7。三塁としてのプライドはあったが二塁転向を受諾。今季も二塁手として152試合に出て7失策と堅実な守備を見せた。新人年に三塁で100試合以上に出場し、2年目に二塁で100試合以上に出たのは、岩村以外には過去75年で殿堂入り選手サンドバーグ(元カブス)だけ。フリードマンGMが「ヤクルト時代のあの運動能力を見て、絶対に二塁転向ができると確信したんだよ」とニンマリするのも無理はなかった。

 投手を含めた守りの安定感をバックに、攻撃陣がたたみかけるのは今季のレイズを象徴する戦いぶり。岩村は無安打で連続試合安打は「7」でストップしたが、4番ロンゴリアが新人最多記録となるプレーオフ5号を放つなど、先発ウェークフィールドを早々とKO。簡単に王手をかけた。

 15日は試合がなく、練習も休み。岩村は「個人的には気分悪いんですけど(笑い)。チームが勝ったことに対しては気持ち良く休みを取れると思う」と完全休養する予定。明日16日の第5戦では松坂に襲いかかり、一気にリーグ優勝を決めるつもりだ。【千葉修宏】